ショルダーキーボード

ショルダーキーボード：鍵盤を身にまとう自由な音楽

ショルダーキーボード、それはシンセサイザーの鍵盤をギターのようにストラップで肩から提げて演奏できるようにした楽器の総称です。ローランドや英語圏では「キーター (Keytar)」という愛称で親しまれています。ステージを縦横無尽に動き回り、観客を魅了するキーボーディストの姿を可能にする、そんな自由な楽器、ショルダーキーボードの世界を覗いてみましょう。

ショルダーキーボードの種類

現行のショルダーキーボードは大きく分けて2つのタイプがあります。

音源内蔵型: 一般的なシンセサイザーと同様に、アナログやデジタルの音源を内蔵しており、単体で演奏が可能です。
コントローラー型: 音源を内蔵せず、MIDI信号を発信する鍵盤とスイッチのみを搭載しています。外部のMIDI音源モジュールと接続して使用します。

廉価版モデルの中には、音源とスピーカーを内蔵し、単体で発音できるものもあります。

ショルダーキーボードの特徴

多くのモデルはギターをモチーフにした形状をしており、ネックやヘッドにあたる部分（グリップ）には、エフェクト機能のスイッチ類が装備されています。ボディ部分には鍵盤が上向きに配置され、ギター用やベース用のストラップを流用できるモデルも存在します。これにより、キーボーディストはステージ上を自由に動き回り、ギタリストやベーシストのようにパフォーマンスを行うことができます。

ショルダーキーボードの歴史

ショルダーキーボードの黎明期は、既製品が存在しない時代に遡ります。1970年代前半、エドガー・ウィンターが「アープ2600」のコントローラーにストラップを取り付け、自作のショルダーキーボードとして使用しました。その後、元アープ社の社員ロジャー・パウエルらがシンセサイザー用コントローラー「プローブ」を開発。ヤン・ハマーが自身のプレイスタイルに合わせてカスタマイズしたモデルを使用したことで、その名は広く知られるようになりました。

また、日本のヒルウッド社が61鍵盤のキーボードにストラップを取り付けた「RB-1」を発売。1970年代末から1980年代にかけては、「クラヴィター」や「モーグ・リバレーション」といったショルダーキーボードが登場し、ハービー・ハンコックやジョージ・デュークなどの著名なミュージシャンが使用したことで、一般にも認知されるようになりました。

一時期、製造が途絶え、入手困難な時期もありましたが、近年ローランドやコルグが新たなモデルを発表するなど、ショルダーキーボードは再び注目を集めています。

主なモデル

YAMAHA
CS01
KX1
CS01II
KX5
DX100
SHS-10
SHS-200
VKB-100
SHS-300
SHS-500

ローランド
SH-101
AXIS
AXIS-1
AX-1
AX-7
AX-Synth
Lucina AX-09
AX-Edge

河合楽器製作所
SPECTRA KC10
SPECTRA KC20
MIDI KEY MDK61
MIDI KEY II MDK61-2

KORG
RK-100
RK-100S
707
POLY-800
POLY-800II
microKORG + SC-MK1

CASIO
AZ-1
CZ-101
CZ-230
CZ-1000
SA-75 + SI-100

moog
LIBERATION

ALESIS
VORTEX
VORTEX Wireless
VORTEX Wireless 2

主な演奏者

国内
深町純 (CS01)
小室哲哉 (KX1, KX5)
浅倉大介 (KX5)
木根尚登 (DX100)
[坂本龍一]
松浦雅也 (AZ-1, LN4)
岡田徹 (VORTEX, VORTEX Wireless 2)
国分太一 (KX5, AX-1)
松居慶子 (CS01, KX5)
ミッキー吉野 (RK-100)
向谷実 (LIBERATION, KX1, KX5)
桃井はるこ (KX5, AX-1, AX-7, SHS-10, AX-Synth)

海外
ハービー・ハンコック (クラヴィター, AXIS-1, AX-7, AX-Synth, AX-Edge)
ジョージ・デューク (クラヴィター, KX1, AX-7)
チック・コリア (KX5)
* ヤン・ハマー (KX5, Jan Hammer SIGNATURE EDITION)


※「ショルキー」はヤマハの登録商標です。

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