シラタマホシクサ

シラタマホシクサ（白玉星草）

シラタマホシクサ（学名：Eriocaulon nudicuspe）は、ホシクサ科ホシクサ属に分類される一年草で、日本固有の植物です。主に東海地方の一部、具体的には静岡県、愛知県、岐阜県、三重県の伊勢湾沿岸近くの湿地に生育しています。特に鉄分の多い酸性土壌を好む傾向があります。

特徴

シラタマホシクサの最大の特徴は、花茎の先端に咲く白い球状の花です。この花は直径約1cm程度で、白色の短い毛が密生しているため、まるで白い玉のように見えます。多数の株が群生している場所では、まるで白いホタルが乱舞しているかのような幻想的な光景を作り出します。草丈は20cmから40cm程度に成長し、葉は線形で長さ14cmから20cm、幅は1cmから3cmほどです。花は多数の小さな花が集まって形成され、雄花と雌花が存在します。開花時期は8月下旬から10月で、晩秋まで金平糖のような可愛らしい花を咲かせることから、「金平糖草」という別名でも親しまれています。

分布と生育環境

シラタマホシクサは、東海丘陵要素植物の一種として知られ、鉄分を多く含む酸性の湿地を好みます。かつては名古屋市東部の里山にも生育していましたが、宅地開発や湿地の乾燥化により、その多くが姿を消しました。現在では、豊橋市の葦毛湿原などが主な生息地として知られています。

保全状況

シラタマホシクサは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類（VU）に指定されており、絶滅の危機に瀕しています。推定される総個体数は約8,000株、平均減少率は約50%と報告されています。主な減少要因は、湿地の開発、土地造成、園芸目的の採集などです。特に三重県では個体数の減少が著しく、絶滅危惧IB類に指定されています。また、静岡県、愛知県、岐阜県でも絶滅危惧II類として指定され、保護対策が求められています。

近縁種

シラタマホシクサの近縁種として、オオホシクサ（Eriocaulon buergerianum）が挙げられます。オオホシクサは、台湾、中国、日本では近畿地方以西の本州、四国、九州、沖縄に分布しています。シラタマホシクサと比較すると、頭花の白色の短毛が少ない点が特徴です。オオホシクサもまた、西日本の複数の都道府県でレッドリストの指定を受けており、保全の必要性が指摘されています。

その他

シラタマホシクサは、その独特な姿から観賞用としても人気がありますが、野生の個体を採取することは環境保護の観点から避けるべきです。自然環境を守り、次世代にこの美しい植物を残していくために、一人ひとりが意識を高めることが大切です。

関連項目

ホシクサ属
金平糖

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