シリア海軍

シリア海軍について

シリア海軍（シリアかいぐん）、正式にはシリア・アラブ海軍（アラビア語：الْبَحْرِيَّةُ الْعَرَبِيَّةُ السُّورِيَّةُ）とは、シリア軍の中で海上を担当する部門であり、主に沿岸の防衛や国の領海の安全を維持する役割を果たしています。この海軍には、沿岸防衛隊や海兵隊が含まれ、約4,000人の水兵と2,500人の予備兵、1,500人の海兵隊員が在籍しています。比較的小規模な組織であり、シリア陸軍のラタキア地域の指揮下にあることが特徴です。シリア海軍の艦船は、バニヤース、ラタキア、ミネト・エル・ベイダ、タルトゥースの各港に拠点を構えています。

歴史の流れ

シリア海軍が設立されたのは1950年8月29日で、フランスから艦艇を調達した後、陸軍の兵士たちがフランス海軍兵学校で訓練を受けました。この日付は、シリア海軍の年間休日として祝福され、マストの戦いの記念日でもあります。

1973年の第四次中東戦争では、シリア海軍はラタキア沖でイスラエルの艦艇と接触し、史上初の艦対艦ミサイル艇を用いた戦闘を行いました。この戦闘はラタキア沖海戦として知られ、結果としてシリア側の艦船は全て沈没してしまいましたが、この戦闘を含む様々な歴史的な背景がシリア海軍の知名度を高めました。

1989年にはマルタのタンカーを撃沈し、シリア内戦中には政府軍が反体制派に対して海軍艦艇を用いているとの主張がありましたが、政府側はこれを否定し双方の主張が対立しました。

現状と軍構成

シリア海軍は現在、主に海軍、沿岸防衛、海軍航空部隊から成り立っています。約1,500人の海兵隊員が国内の海軍基地の防護を担当しており、また戦闘に参加するなどの活発な活動も行っています。沿岸監視には2つの歩兵旅団や監視大隊も設けられ、南シリアの防衛を強化しています。

また、シリア海軍は地中海における戦略的な動きを強化しており、ロシアやイランから近代的な武器や装備を受け取ることでその能力向上を図っています。近年では、P-15対艦ミサイルやP-800 長距離ミサイルを導入し、戦力の強化に努めています。

拠点と運用

本部はダマスカスに位置し、ラタキアが主要基地となっています。このラタキア港は、最大の軍艦修理セクションを有し、シリア海軍のさまざまな艦船が停泊しています。またタルトゥース港は海軍フリゲートや掃海艇の拠点でもあり、ロシアとの軍事協力の重要な拠点ともなっています。この場所は、冷戦中に設立され、現在もロシア軍の重要な基地として機能しています。

旧型艦船と今後の動向

シリア海軍は、過去に潜水艦や掃海艇を運用していましたが、現在ではこれらの多くが退役しています。現在運用されている艦艇の近代化が進められており、今後はロシアからの潜水艦受領も期待されています。

シリア海軍のこれからの動向として、強化された防衛能力と新しい装備の購入により、地域における防衛力がさらに拡充されることが見込まれています。

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