シリー諸島

シリー諸島（Isles of Scilly）は、イギリスのコーンウォール半島の沖合に位置する、大小約140の島と岩礁からなる群島です。総面積は約16平方キロメートルで、そのうち5つの島に人々が暮らしており、人口は約2100人です。

歴史

シリー諸島には、紀元前2000年頃の住居跡が発見されており、当時から人々が居住していたと考えられています。その頃は、現在のように複数の島に分かれておらず、一つの大きな島を形成していたと推測されています。紀元前1世紀頃には、古代ローマ帝国の支配下に入り、その時代の遺物も多数出土しています。その後、徐々に浸水が進み、現在の島々の形になったと考えられています。

また、シリー諸島は1651年から1986年まで、「世界最長の戦争」として知られる三百三十五年戦争の当事者であったという歴史的な背景も持っています。

気候

シリー諸島は、大ブリテン島と同様に西岸海洋性気候に属しています。暖流である北大西洋海流と、偏西風の影響を受けるため、比較的高緯度に位置するにもかかわらず、温暖な気候です。海洋性気候の特徴として、気温の変化が穏やかで、年間を通して比較的安定しています。最も暑い月と寒い月の平均気温差は、わずか8℃から10℃程度です。降水量も年間を通して安定しており、極端な差は見られません。

地形・生物相

シリー諸島の海岸線は、岩石海岸と砂丘が入り混じった地形です。砂丘には、ハママツナやハマカンザシ、ヒースなどの植物が生育しています。また、ニシセグロカモメをはじめとする海鳥の生息地としても知られており、2001年にはラムサール条約登録地となりました。

産業・観光

シリー諸島の主要な産業は観光業であり、人口の約70%が観光関連の仕事に従事しています。イギリス全体の産業別人口構成と比較すると、観光業への依存度の高さが際立っています。その他、野菜や花卉の栽培も行われていますが、周囲を海に囲まれているにもかかわらず、漁業はあまり盛んではありません。

主な島

セント・メアリーズ島: シリー諸島最大の島で、諸島の中心となる町ヒュータウンがあります。また、セント・メアリーズ空港が設置されており、空の玄関口となっています。
トゥレスコ島: シリー諸島で2番目に大きな島で、亜熱帯植物園があります。
* セント・アグネス島: 奇岩が多いことで知られています。

シリー諸島は、その美しい自然と温暖な気候、そして独自の歴史を持つ魅力的な島々です。

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