シルバー事件

シルバー事件

『シルバー事件』は、グラスホッパー・マニファクチュアが開発し、1999年にアスキーから発売されたPlayStation用3Dアドベンチャーゲームです。独特なゲームシステムと、重厚なストーリーで、多くのプレイヤーを魅了しました。

ゲーム概要

ストーリー

物語は、市場経済主導型社会主義国家「カントウ」の新興都市「24区」を舞台に、伝説の事件「シルバー事件」を巡るミステリーが展開されます。プレイヤーは、公安特殊部隊の一員として、あるいはフリーライターとして、2つの視点から事件の真相に迫ります。

[Transmitter]（トランスミッター）: 24署凶悪犯罪課を舞台に、主人公が奇妙な事件に遭遇する様を描く、物語の本筋。
[Placebo]（プラシーボ）: フリーライター、モリシマトキオが「シルバー事件」の謎を追う、[Transmitter]編を別の視点から考察する物語。

物語は刑事サスペンスとして展開されますが、犯罪がウイルスのように伝播する「犯罪力」や、強い思念が残る「残留思念」といったSF的な要素も含まれています。

独特な表現手法：FILM WINDOW（フィルム・ウィンドウ）

本作最大の特徴は、FILM WINDOWと呼ばれる独特な画面構成です。複数のウィンドウを組み合わせることで、場所、映像、テキスト、キャラクターの感情などを同時に表示し、物語を多角的に表現します。

3Dウィンドウ: ポリゴンで描かれた風景や建物が表示されます。
ムービー・ウィンドウ: 実写映像、アニメーション、3Dポリゴンなど、様々なムービーが表示されます。
グラフィック・ウィンドウ: イベントシーンの一枚絵や、アイテムなどの映像が表示されます。
テキスト・ウィンドウ: キャラクターのセリフや、文章が表示されます。
フェイス・ウィンドウ: キャラクターの顔が表示され、感情を表現します。
メニュー・ウィンドウ: 移動、接触、道具の使用、セーブなどのコマンドが表示されます。

これらのウィンドウは、場面に応じて表示位置や大きさが変化し、音楽のリズムに合わせてアニメーションするなど、視覚的な演出にも力が入れられています。

開発の背景

ディレクターの須田剛一氏は、従来のゲームシステムに疑問を抱き、本作で新たな表現方法に挑戦しました。FILM WINDOWは、アスキーからの要望と、宮本崇氏の描くイラストと3Dポリゴンの融合の難しさから生まれた表現手法です。

ストーリーは、須田氏の妻の父親が警察官だったことから刑事モノを題材に、管理社会への恐怖感から管理された世界を前提として構築されました。

リマスター版と続編

2016年には、Windows PC向けにHDリマスター版『The Silver Case』が発売され、日本国外でもリリースされました。また、本作の続編となる携帯電話アプリゲーム『シルバー事件25区』も配信されています。

2018年には、本作と『シルバー事件25区』を同時収録したPlayStation 4|PlayStation_4版『シルバー2425』が発売され、2021年にはNintendo Switch版も発売されました。

ノベライズ

ファミ通文庫からノベライズ版『case＃4.5』が刊行されています。

世界観の共有

HDリマスター版のエクストラコンテンツに含まれるデジタルコミックの中で、本作は『ムーンライトシンドローム』と世界観を共有している事が明かされています。

スタッフ

エグゼクティブ・プロデューサー：吉田穂積
トータル・プロデューサー：スズキヒサシ
プロデューサー：タムラヒロユキ
ディレクター：須田剛一
スクリーンプレイ：須田剛一、大岡まさひ、加藤さこ
イラストレーション：宮本崇
サウンドトラック：高田雅史

評価

ゲーム誌『ファミ通』のクロスレビューでは、シルバー殿堂入りを獲得。斬新な演出や世界観設定は高く評価された一方、FILM WINDOWの見にくさや、二面的なストーリーの娯楽性については賛否両論ありました。

関連作品

ムーンライトシンドローム（1997年）
花と太陽と雨と（2001年）
シルバー事件25区（2005年）
* Travis Strikes Again: No More Heroes（2019年）

『シルバー事件』は、その独特な世界観と表現手法で、今もなお多くのファンに愛され続けている作品です。

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