シンガポール日本人学校

シンガポール日本人学校

シンガポール共和国に所在するシンガポール日本人学校（英語名称：Singapore Japanese School）は、日本国政府の海外子女教育施策を受け、シンガポール現地の法令に基づいて認可された私立学校です。この学校は、小学部がクレメンティ校とチャンギ校の二つのキャンパスに分かれ、さらに中学部が一つのキャンパスを構える、合計三校舎体制で運営されています。全体で2,000名を超える児童・生徒が在籍しており、これは世界の日本人学校の中でも最大規模の一つです。

学校の概要

入学資格としては、原則としてシンガポールに居住し、保護者がシンガポール日本人会の法人会員（勤務先の日系企業が会員）または個人会員である必要があります。日本国籍を持たない児童の場合でも、校長が授業への適応が可能と判断すれば入学が許可されるケースがありますが、シンガポール国籍のみの児童はシンガポール国内法により入学が認められていません。

児童・生徒の居住地域は広範囲にわたるため、多くの生徒がスクールバスを利用して通学しています。このスクールバスは、保護者によって組織された協同組合がチャーターした複数台のバスが運行を担っています。

教員構成は、学校長を含め、多くは日本の文部科学省から海外日本人学校への派遣教員として研修を受けた者（長期研修として3年任期で派遣）です。その他に、海外子女教育財団の推薦を受けた日本人教師や、英語を母語とするネイティブ講師を含む現地採用の外国人および日本人教師が在籍しています。

沿革

シンガポールにおける日本人教育の歴史は長く、1912年に補習校として設立されたのが始まりです。第二次世界大戦中に一時閉鎖されましたが、戦後に補習授業が再開され、1966年にシンガポール政府から私立学校として認可を受けて正式に日本人学校となりました。開校当初は教員3名、児童27名でしたが、児童数の増加に伴いダルベイエステート校からスイスコテージ校、ウエストコースト校へと移転を重ね、1976年に現在のクレメンティ校へ移りました。1984年には中学部校舎がウエストコーストに完成し、小中学校が独立した体制となります。1995年には小学部チャンギ校の一部が開校し、3校体制が確立されました。近年では2017年度に中学部でグローバルクラスが開設されるなど、教育内容の更新も行われています。

教育方針と特色ある教育活動

本校は「21世紀に生きる日本人として、豊かな国際感覚をもち、世界の人々とつながろうとする人材の育成」を教育理念として掲げています。この目標達成のため、「生きる力」を育むための基礎基本の徹底、英語教育の重視、現地理解教育と交流教育の推進、IT教育の充実、家庭・地域との連携を教育の柱として実践しています。

授業は日本の文部科学省が定める学習指導要領に基づいて行われますが、シンガポールの特性を活かした独自の取り組みも多くあります。小学部では1年生から週5時限の英会話授業が能力別クラスで実施され、中学部では週4時限の英会話に加え、一部科目にイマージョン授業が導入されています。また、中学部では週1回、生徒が選択できる授業も行われています。社会科や総合的な学習の時間などでは、シンガポールの歴史や文化、社会について学ぶ現地理解教育に力が入れられています。

2017年度に中学部で開設された「グローバルクラス」は、教育理念を高いレベルで実現するための特色あるプログラムです。イマージョン学級、数学や理科を英語で学ぶ授業、国際教養ゼミなどを通して、英語での学習機会を大幅に増やし（週18時間）、TOEFLジュニアなどの資格取得も目指しています。このクラスは全学年を対象としています。

学校生活と施設

昼食は、家庭からの弁当持参が基本ですが、業者に日替わり弁当などを注文することも可能です。

日本の学校と同様にクラブ活動も活発に行われています。中学部には多岐にわたる部活動があり、特にバスケットボール、ダンス、野球部などは近隣の早稲田渋谷シンガポール校や現地の学校との交流試合や練習も積極的に行っています。

校舎について、小学部クレメンティ校はシンガポール国立大学に隣接しています。小学部チャンギ校はチャンギ国際空港近くに位置しており、騒音対策として窓が二重になっています。中学部校舎はシンガポール日本人幼稚園に隣接しており、かつてプールがあった場所は2016年度に取り壊され、テニスコートが整備されました。

著名な出身者

岡本果奈美（グラビアアイドル）
香椎由宇（女優、ファッションモデル）
* 小島慶子（エッセイスト、元TBSアナウンサー）

シンガポール日本人学校は、これらの環境と教育活動を通じて、シンガポールに滞在する子どもたちが豊かな国際感覚と確かな学力を身につけ、健やかに成長できる場を提供しています。

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