シンコウアンクレー

シンコウアンクレー：平地から障害へ、そして伝説へ

シンコウアンクレーは、1989年にデビューした競走馬です。平地競走では幾度か出走するものの、目覚ましい活躍とは無縁の成績に終わりました。ダービートライアルの青葉賞では最下位に沈むなど、平地競走ではその才能を遺憾なく発揮することができませんでした。しかし、運命の転換期は、1991年に訪れます。

1991年1月、シンコウアンクレーは中山競馬場の障害未勝利戦に初出走。このレースで、シンコウアンクレーは潜在能力を爆発させます。少ない頭数のメンバーの中で、見事勝利を掴み取りました。続く400万下も制し、連勝街道を歩みます。勢いに乗るシンコウアンクレーは、続く障害オープンにも挑戦。しかし、ここでは惜しくも3着に終わりました。この経験が、後の大舞台での活躍に繋がる伏線となったのかもしれません。

そして迎えたのは、1991年の中山大障害（春）。このレースには、前年の優勝馬パンフレットや、前年の京都大障害（秋）優勝馬クリバロンなど、強豪が名を連ねていました。シンコウアンクレーは4番人気という評価でした。レースは、クリバロンの大逃げからスタート。しかし、クリバロンは途中で転倒。アクシデントにより、レースは4頭立てへと様変わりしました。

この混乱の中、シンコウアンクレーはレースをリード。シンボリクリエンスが猛追するも、シンコウアンクレーは粘り強く逃げ切ります。大生垣でバランスを崩す場面もありましたが、最後まで先頭を譲らず、見事優勝を飾りました。タイムは4分38秒1。1979年春のバローネターフのレコードを0.4秒更新する、圧巻の走りでした。この勝利は、管理調教師である二本柳俊一調教師にとっても、初の重賞制覇となりました。

中山大障害制覇という偉業を達成したシンコウアンクレーでしたが、その後、放牧中に脚の裏筋を痛めてしまいます。秋の復帰は叶わず、温泉治療なども試みられましたが、回復には至りませんでした。そして、1992年9月24日、登録抹消という形で、競走馬としての生涯を終えました。

シンコウアンクレーの競走生活は長くはありませんでしたが、その短い期間の中で、平地競走での苦戦を乗り越え、障害競走で才能を開花させました。中山大障害（春）での優勝は、多くの競馬ファンに感動を与え、今も語り継がれる伝説となっています。その活躍は、決して華やかなものではありませんでしたが、努力と才能、そして少しの幸運が重なり、奇跡のような勝利を掴み取った、シンコウアンクレーの物語でした。

血統: シンコウアンクレーの半姉であるベラ（父：リマンド）の子には、スガノオージがいます。この血統背景も、シンコウアンクレーの能力を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

参考資料: netkeiba.com、JBISサーチ

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