シンス・ユー・ビーン・ゴーン

シンス・ユー・ビーン・ゴーン (Since You Been Gone)

「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は、1976年にラス・バラード（元アージェント）がアルバム『Winning』で発表した楽曲です。この曲は、去って行った恋人を忘れられない心情を歌った失恋ソングでありながらも、歌詞には前向きなメッセージが込められています。

レインボーによるカバー

この曲で最も知られているのは、1979年にレインボーがカバーしたバージョンでしょう。アルバム『ダウン・トゥ・アース』に収録する際、ドラマーのコージー・パウエルは「これはロックではない」と主張し、リッチー・ブラックモアとの間で激しい対立が起きました。伝えられるところによると、ブラックモアは「どうしても収録する。そうでなければクビだ」と言い放ったそうです。しかし、グラハム・ボネットの力強いボーカルと、頻繁なキーチェンジが印象的なコーラスを持つこの楽曲は、それまでのレインボーのイメージとは異なり、ポップな要素を取り入れたことで、新たなファン層を獲得しました。

シングルとしてリリースされると、イギリスでトップ10入りを果たし、レインボーの代表曲の一つとなりました。多くのアーティストがレインボーのバージョンを参考にカバーしており、アメリカ市場を意識して制作されたにもかかわらず、イギリスでより大きな成功を収めたという点も興味深い事実です。レインボーはその後もポップ路線を追求し、1981年には再びラス・バラードの楽曲「アイ・サレンダー」をカバーしています。

しかし、このポップ路線への転換は、一部のファンからは複雑な反応を引き起こしました。熱心なレインボーのファンだった広瀬和生は、『ダウン・トゥ・アース』を初めて聴いた際、B面から再生したことでこの曲に衝撃を受けたと語っています。

グラハム・ボネットにとっての代表曲

ボーカルを務めたグラハム・ボネットにとって、「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は自身の持ち歌の一つとなりました。彼は後に所属したアルカトラスのライブ・アルバム『ライヴ・センテンス』や、インペリテリのスタジオ・アルバム『スタンド・イン・ライン』でもこの曲を歌っています。2000年には、ANTHEMの日本ツアーにゲスト参加した際にも、アンコールでこの曲を披露しました。

ブライアン・メイによる演奏

クイーンのブライアン・メイは、レインボーによるカバーバージョンを非常に気に入っており、様々なインタビューでその魅力を語っています。「どんな曲を歌いたいか？」という質問に対して、彼はいつもこの曲の名前を挙げていました。1993年のソロツアーでは、女性コーラスを従えてこの曲を演奏し、自らボーカルとリードギターを担当しました。ドラムは、かつてレインボーでこの曲の収録に難色を示したコージー・パウエルが担当しています。

メイは曲のタイトルを「Since You Been Gone」から「Since You've Been Gone」に変更し、終盤のリフレイン部分では、レインボーのバージョンとはキーを変えて歌いました。この演奏は、1994年にリリースされたライブ・アルバム『Live at Brixton Academy』に収録されています。コージー・パウエルの事故死後も、ブライアン・メイのソロツアーでは、彼に捧げる曲としてこの曲が演奏されています。

カバーしたアーティスト

「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

Clout
Marie and Cherie Currie
Brian Johnson
Simon Lees
クライマックス
Company of Snakes
Jeff Soto Band with Joe Lynn Turner
ブライアン・メイ
Hi-STANDARD
インペリテリ
* Head East

など、ジャンルを超えて多くのアーティストに愛されています。

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