シンデレラたちへの伝言

高井麻巳子デビューシングル「シンデレラたちへの伝言」：大ヒット曲の軌跡とその後

1986年6月25日、高井麻巳子のソロ歌手としてのキャリアは、キャニオン・レコードから発売されたデビューシングル「シンデレラたちへの伝言」で幕を開けました。この曲は、作詞を売野雅勇氏、作曲を八田雅弘氏、編曲をLight House Projectが担当した、鮮烈なデビューを飾るにふさわしい一曲となりました。

特に注目すべきは、この曲がフジテレビ系人気番組『夕やけニャンニャン』のテーマソングとして起用されたことです。番組の人気と相まって、「シンデレラたちへの伝言」は瞬く間に多くのリスナーの心を掴み、オリコンチャートで堂々の1位を獲得するという快挙を達成しました。

デビュー曲にしてこれほどの成功を収めたことは、高井麻巳子自身にとっても、そして日本の音楽シーンにとっても大きな出来事でした。この曲は、彼女の才能を広く世に知らしめ、後のソロ活動の礎を築くことになったのです。

さらに、「シンデレラたちへの伝言」は、高井麻巳子の所属していたアイドルグループ、おニャン子クラブの解散コンサートでも披露されました。1987年9月20日、代々木第一体育館で行われたこのコンサートでは、おニャン子クラブのメンバーだけでなく、うしろゆびさされ組も再結成してパフォーマンスを行い、会場は感動と興奮に包まれました。高井麻巳子は、このコンサートで「シンデレラたちへの伝言」を熱唱し、多くのファンに忘れられない思い出をプレゼントしました。しかし、この再結成は、この日が最後となりました。

カップリング曲である「こわれかけたピアノ」もまた、注目に値します。作詞は秋元康氏、作曲は高橋幸宏氏、編曲は岩倉健二氏が担当しました。高井麻巳子のソロ楽曲の中で、秋元康氏が作詞を担当した唯一の曲であり、この曲からも彼女の幅広い音楽性を垣間見ることができます。このバラード調の楽曲は、デビュー曲とは異なる魅力を持ち、彼女の音楽的多様性を示す重要な一曲と言えます。

「シンデレラたちへの伝言」は、その後の長きに渡り、数々のアルバムに収録され続けています。代表的なアルバムとして、『いとぐち』『MYこれ!クション 高井麻巳子BEST』『高井麻巳子 SINGLESコンプリート』『スーパーベスト』『NON-STOP おニャン子』『家宝』『おニャン子クラブA面コレクション Vol.2』『おニャン子クラブB面コレクション Vol.2』などがあります。これらからも、この曲がいかに高井麻巳子、そして日本の音楽史において重要な楽曲であるかが分かります。

また、「シンデレラたちへの伝言」は、日本国内にとどまらず、海外でもカバーされています。香港の歌手プリシラ・チャンは、1987年のアルバム『變、變、變』で広東語バージョン「天意」として収録。さらに、2017年には、売野雅勇氏の作詞活動35周年記念カバーアルバム『真夏のイノセンス 作詞家・売野雅勇 Hits Covers』にて、中島愛がカバーしています。これらのカバーからも、この楽曲の普遍的な魅力と時代を超えた人気が伺えます。

「シンデレラたちへの伝言」は、単なるヒット曲ではなく、高井麻巳子のソロキャリアの出発点であり、そして日本の音楽史に刻まれた名曲として、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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