シーク (映画)

映画『シーク』の概要

映画『シーク』（英: The Sheik）は、1921年にアメリカのパラマウント映画によって公開された、ルドルフ・ヴァレンティノ主演のサイレント映画です。この作品は、ロマンスとアクションの要素を兼ね備えたもので、ヴァレンティノにとってパラマウント映画へ移籍後の初作品となり、その人気の確立に寄与しました。日本では1922年の8月23日に帝国劇場で初公開され、多くの観客を魅了しました。

『シーク』というタイトルの「シーク」は、アラビア語で族長を意味する「シャイフ」の英語表記であり、映画の主人公であるアーメッド（Ahmed）もアラビア語の「アハマド」の英語風の発音に由来しています。この映画は、西洋の女性がアラブ部族のリーダーと恋に落ちるという、エキゾティズムとオリエンタリズムの典型的なストーリーを描いています。

本作の後には、1926年に続編である『熱砂の舞』（The Son of the Sheik）が公開され、こちらもヴァレンティノの象徴的な作品の一つとして名を馳せます。

幻想と現実の交錯

物語の中心には、自由を求めるイギリス女性ダイアナがいます。彼女は、結婚による束縛から逃れようとサハラ砂漠への旅に出ます。そこで彼女が出会ったのが、アラブの族長アーメッドです。最初は野蛮だと思っていたアーメッドですが、実は彼はフランスで教育を受けた洗練された人物です。

ある日、ダイアナはアーメッドに連れ去られ、その後彼の天幕に囚われます。ダイアナが逃げようと試みるものの、山賊に襲われそうになり、その際にアーメッドに助けられます。アーメッドは、ダイアナの幸せを思い、帰らせようと考えるも、彼女の心の内に秘めた愛情を知ります。

その後、ダイアナは再び襲撃され、オマイルの砦に捕らえられてしまいます。しかし、アーメッドは彼女の愛の言葉を理解し、仲間たちを連れて砦を襲撃します。多くの困難を乗り越えた後、二人はついに結ばれる運命に導かれます。

キャストと制作

本映画の主要キャストには、ルドルフ・ヴァレンティノがアーメッド役、アグネス・エアーズがダイアナ役、アドルフ・マンジューがアーメッドの友人ラウールとして出演しています。ほかにも、様々な役柄を通じて映画の魅力を引き立てたキャストがいます。

作品の脚本はモント・カッタージョンが担当し、監督にはジョージ・メルフォードが起用されています。撮影を手掛けたウィリアム・マーシャルは、視覚的な美しさを創り出し、サイレント映画ならではの表現力を引き出しました。

『シーク』はそのエキゾチックな内容と美しい映像美によって、1920年代の映画史において重要な位置を占めています。作品は現代においても視聴されつづけ、多くの映画ファンに影響を与えてきました。

もう一度検索