シークレット・チルドレン 禁じられた力

シークレット・チルドレン 禁じられた力：閉ざされた世界と特殊能力の物語

2015年公開のアメリカ映画『シークレット・チルドレン 禁じられた力』(原題:One & Two)は、アンドリュー・ドロス・パレルモ監督によるファンタジー作品です。キーナン・シプカとティモシー・シャラメという、後に活躍の場を広げる若手俳優を主演に迎え、閉ざされた世界で生きる家族のドラマを描いています。

物語の舞台は、壁に囲まれた隔絶された土地。アーミッシュの信仰を持つ一家は、文明から離れた生活を送っています。両親と二人の子供、ザックとエヴァの4人家族です。ザックとエヴァには、驚くべき能力がありました。彼らは視界の範囲内で瞬間移動ができるのです。この能力を駆使して、夜な夜な家を抜け出し、草原で自由に遊びます。

しかし、父ダニエルは子供たちの能力を忌み嫌います。自然の摂理に反するもの、と捉え、能力の使用を厳しく禁じていました。さらに、母エリザベスは時折、激しい呼吸困難に襲われます。ダニエルは、エリザベスの病と子供たちの能力を結びつけ、「罰」だと考えていました。

ある夜、ダニエルの命令に背き、外で遊んでいたザックとエヴァは、帰りを父に見つかってしまいます。激怒したダニエルは、子供たちを壁に服を釘で打ち付け、長時間その状態に置きます。その様子を目撃したエリザベスは、夫と激しく対立します。この出来事をきっかけに、ザックは能力の使用をやめようとエヴァに訴えますが、エヴァは納得しません。

その後、エヴァは巣から落ちたひな鳥を助けるために瞬間移動を使いますが、その際にひな鳥を死なせてしまいます。この出来事がエヴァに影を落とします。ある夜、エリザベスは発作を起こし、息を引き取ります。ダニエルは妻の死をエヴァのせいにし、ザックを閉じ込めた後、エヴァを川に流してしまいます。

エヴァは町の近くで発見され、病院に運ばれますが、文明社会と見知らぬ人々に恐怖を感じ、病院から脱走します。一方、ダニエルはザックにエヴァの死を告げます。悲しみに暮れるザックは、母とエヴァの墓前で絶望します。

街をさまようエヴァは、ホームレスの女性ジェイミーと出会い、一時的に身を寄せますが、警官から逃れるために再び瞬間移動を使います。その後、保護施設でダニーという少女と出会い、施設で暮らすようになりますが、再び施設を逃げ出します。

一方、ダニエルは、過去のある出来事をザックに打ち明けます。その際にザックは怒りを爆発させ、父と口論になります。そして、ザックは父とつかみ合ったまま瞬間移動し、その直後、ダニエルは倒れ、息を引き取ります。ザックは自分の能力が父を死に至らしめたことを悟り、深い悲しみに沈みます。

エヴァは瞬間移動を繰り返し、実家を目指します。壁に阻まれたエヴァは、壁を通り抜ける瞬間移動を試み、成功します。森の中で、エヴァはザックと再会します。母の墓に別れを告げたエヴァは、ある計画を立て、兄弟二人で家を焼き払います。

キャストと製作

キーナン・シプカがエヴァを、ティモシー・シャラメがザックを演じています。エリザベス役にはエリザベス・リーサー、ダニエル役にはグラント・バウラーがそれぞれキャスティングされました。主要撮影は2014年夏、ノースカロライナ州で行われました。

公開と評価

本作は2015年2月、ベルリン国際映画祭でプレミア上映されました。その後、サウス・バイ・サウスウェストでも上映され、IFCミッドナイトが全米配給権を獲得しました。批評家の評価は分かれており、Rotten Tomatoesでは批評家支持率47％、Metacriticでは47/100という評価となっています。

この映画は、特殊能力を持つ子供たちと、その能力を巡る家族の葛藤、そして閉ざされた世界と文明社会との対比など、様々なテーマを繊細に描いています。家族愛、喪失、そして希望といった複雑な感情が織りなす、見応えのある作品と言えるでしょう。

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