シーケンシャルマニュアルトランスミッション

シーケンシャルマニュアルトランスミッション（SMT）について

シーケンシャルマニュアルトランスミッション（Sequential Manual Transmission）は、自動車やオートバイに使われる変速機の一種で、運転者がギアを順番に選ぶことができます。そのシフトレバーの操作方法から「Iパターン」とも呼ばれ、従来のマニュアルトランスミッションとは異なる直線的な変速が特徴です。これにより、運転手は誤ってギアを選ぶ可能性が低くなり、特に自動車競技において重宝されています。

Hパターンとの違い

一般的なマニュアルトランスミッションでは、シフトレバーを使って前後左右に動かしてギアを変更します。この操作法は「Hパターン」と称されますが、シーケンシャルマニュアルトランスミッションの場合、シフトレバーは前後の動きのみで、連続的にギアを選択する仕組みになっています。

この方式は特にノンシンクロトランスミッションやドグミッションとの組み合わせで使用されることが多いです。また、シーケンシャルトランスミッションでは特定のギアを飛ばして選ぶことができないため、運転者が意図しないギアの選択を防ぎ、スムーズな操作を実現します。競技用車両ではこの特性が利用され、多くのチームがこのトランスミッションを導入しています。F1車両にも90年代半ばから利用された例があります。ここでは、シフトレバーを前に倒すことでギアが上がり、手前に倒すことで下がる仕組みが採用されていました。

トヨタのSMT

トヨタは2000年にLuK社と共同開発したセミオートマチックトランスミッションを「SMT」という名称で登場させました。これはトヨタ・MR-Sに搭載されたもので、油圧ギアシフトアクチュエーターを用いてクラッチの操作やギア選択を行います。したがって、スポーティな走行を追求しつつも、運転の快適性も保たれることを目指しています。

シーケンシフター

シーケンシャルの操作が可能なシフトレバーの後付けシステムも「シーケンシフター」と呼ばれます。これは、従来のHパターン型マニュアルトランスミッションで使用されるものです。この機構は、1990年代から2000年代初頭にモータースポーツの現場で人気を博し、全日本ラリー選手権やダートトライアルなどのレースにおいて広く使われました。しかし、2004年には日本自動車連盟（JAF）が競技での使用を禁止し、その後国際自動車連盟（FIA）も同様の措置を取ったため、シーケンシフターは急速に一般から姿を消すこととなりました。製造を行っていたイケヤフォーミュラも2024年現在では生産を終えています。

まとめ

シーケンシャルマニュアルトランスミッションは、運転者にとって扱いやすく、誤操作の可能性を低くすることで、自動車競技において特に重宝される技術です。トヨタのSMTやシーケンシフターのような派生技術により、さらなる進化が期待されています。これは、より安全で快適な運転体験を提供するための重要な要素となっています。

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