シーズ・ザ・ボス

ミック・ジャガーのソロキャリアの幕開けを告げるアルバム『シーズ・ザ・ボス』は、1985年に発表されました。ローリング・ストーンズのフロントマンとして世界的な名声を得ていた彼が、初めて本格的なソロ作品に挑んだことで、当時大きな話題を呼びました。

制作の背景

ミック・ジャガーは、過去にも映画のサウンドトラックなどでソロ名義での楽曲を発表していましたが、アルバム単位でのソロ作品は本作が初となります。制作が報じられた当初は、『You're the Boss』や『She's a Tough Woman』といった仮タイトルが検討されていました。先行シングルとしてリリースされた「ジャスト・アナザー・ナイト」は、全英32位、全米12位を記録し、アルバムへの期待を高めました。

音楽性と収録曲

アルバムには、ミック・ジャガー自身が手掛けたオリジナル曲が多数収録されています。その中でも、「ロンリー・アット・ザ・トップ」は、ローリング・ストーンズが1979年に録音していた未発表曲を再レコーディングしたもので、ファンにとっては貴重な音源と言えるでしょう。

本作では、ジェフ・ベック、ピート・タウンゼント、ハービー・ハンコックといった、錚々たるミュージシャンが参加しており、彼らの卓越した演奏が、アルバムに彩りを添えています。多様な音楽的要素が取り入れられ、ミック・ジャガーの新たな音楽性を垣間見ることができます。

ソロ活動の本格化

『シーズ・ザ・ボス』の発表後、ミック・ジャガーはソロ活動を本格化させます。同年8月には、デヴィッド・ボウイとのデュエット・シングル「ダンシング・イン・ザ・ストリート」を発表し、世界的な大ヒットを記録しました。この成功により、ミック・ジャガーはソロアーティストとしての地位を確立し、その後も数々のソロアルバムを発表しています。

収録曲リスト

1. ロンリー・アット・ザ・トップ - "Lonely at the Top" (Mick Jagger, Keith Richards)
2. ハーフ・ア・ローフ - "1/2 a Loaf"
3. ランニン・アウト・オブ・ラック - "Running Out of Luck"
4. ターン・ザ・ガール・ルース - "Turn the Girl Loose"
5. ハード・ウーマン - "Hard Woman"
6. ジャスト・アナザー・ナイト - "Just Another Night"
7. ラッキー・イン・ラヴ - "Lucky in Love" (M. Jagger, Carlos Alomar)
8. シークレット - "Secrets"
9. シーズ・ザ・ボス - "She's the Boss" (M. Jagger, C. Alomar)

参加ミュージシャン

ミック・ジャガー - ボーカル、ハーモニカ
ジェフ・ベック - ギター
ピート・タウンゼント - ギター
エディ・マルチネス - ギター
ナイル・ロジャース - ギター
G.E.スミス - ギター
ビル・ラズウェル - ベース、シンセサイザー
バーナード・エドワーズ - ベース
ロビー・シェイクスピア - ベース
コリン・ホッジキンソン - ベース
マイケル・シュリーヴ - ドラムス
スティーヴ・フェローン - ドラムス
スライ・ダンバー - ドラムス
アントン・フィアー - ドラムス、パーカッション
トニー・トンプソン - ドラムス
ハービー・ハンコック - キーボード
ガイ・フレッチャー - シンセサイザー
ロブ・サビーノ - シンセサイザー
ヤン・ハマー - ピアノ
ラビット - シンセサイザー
ロン・マグネス - シンセサイザー
ウォリー・バダルー - シンセサイザー
チャック・リーヴェル - オルガン
ダニエル・ポンス - パーカッション
Alyb Dieng - パーカッション
レイ・クーパー - パーカッション
レニー・ピケット - バリトン・サックス
バーナード・ファウラー - バッキング・ボーカル
フォンジ・ソーントン - バッキング・ボーカル
アルファ・アンダーソン - ラップ
* ポール・バックマスター - ストリングス・アレンジ

『シーズ・ザ・ボス』は、ミック・ジャガーのソロキャリアの出発点として、そして、ロックの歴史においても重要な作品として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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