シービスケット物語

『シービスケット物語』（The Story of Seabiscuit）は、1949年に公開されたアメリカ映画です。実在の競走馬シービスケットの戦績をモデルに、その生涯と周囲の人々を描いた作品ですが、史実に基づきながらもフィクションが多く含まれています。

概要

シービスケット（1933年 - 1947年）は、1940年まで活躍したアメリカの競走馬で、その劇的な競走生活は当時から大きなブームを巻き起こしました。映画はシービスケットの競走戦績を背景に、彼を取り巻く人々を中心に据えた恋愛映画として描かれています。

物語はシービスケットの経歴をなぞっていますが、内容はフィクションが多く、登場人物も馬主のチャールズ・スチュワート・ハワードや騎手のジョージ・ウルフを除いて、多くが架空の人物です。映画には、1940年のサンタアニタハンデキャップなど、シービスケットが優勝した実際の映像が使用されています。シービスケット役には、シービスケットの産駒であるシーソヴリンが起用されましたが、高齢のため思うような競走映像は撮影できなかったようです。

あらすじ

アイルランドで調教師をしていたショーン・オハラは、事故で息子を亡くし、悲しみに暮れていました。そんな中、ケンタッキー州の畜産家トーマス・ミルフォードに招かれ、娘のマーガレットと共に渡米します。ショーンは、トーマスの持ち馬の中にシービスケットを見出し、その才能に気づきますが、手放されてしまいます。一方、騎手のテッド・ノールズはマーガレットに求婚しますが、彼女は過去の出来事から騎手との関係に抵抗を感じていました。テッドはシービスケットの購入を手伝おうとしますが、トーマスに見抜かれてしまいます。

その後、ショーンはカリフォルニアに移り、大馬主のチャールズ・スチュワート・ハワード夫妻にシービスケットを購入させます。ショーンは新しい調教法を取り入れ、シービスケットを勝てる馬に育て上げます。テッドはサンタアニタパーク競馬場で怪我をし入院し、マーガレットが看護することになります。二人は惹かれあい、マーガレットはテッドが騎手を辞めるなら結婚しても良いと考えるようになり、婚約します。

シービスケットはジョージ・ウルフ騎乗のもとで活躍しますが、事故で足を骨折し、競走馬として致命的な怪我を負います。ショーンはシービスケットを競走に復帰させますが、ジョージ・ウルフが騎乗できなくなり、代わりにテッドが復帰することになります。マーガレットはテッドが約束を破ったとして婚約を破棄しますが、テッドはこれが最後の騎乗だと告げ、マーガレットの理解を得ます。最後の競走で大記録を打ち立てたテッドは引退し、マーガレットと共に調教師に転身します。

出演者

マーガレット・オハラ: シャーリー・テンプル
ショーン・オハラ: バリー・フィッツジェラルド
テッド・ノールズ: ロン・マッカリスター
C・S・ハワード夫人: ローズマリー・デカンプ
ジョージ・カーソン: ドナルド・マクブライド
チャールズ・スチュワート・ハワード: ピエリ・ワトキン
* トーマス・ミルフォード: ウィリアム・フォレスト

評価

映画の評価は厳しく、ニューヨーク・タイムズでは「今季のロマンスものの中で最大級のつまらなさ」と酷評されました。評論家からも支持されておらず、シービスケットの伝記作家ローラ・ヒレンブランドは「シービスケットの生涯における興味深い部分をすべて削除して作られた愚作」と評しています。

この映画は、シービスケットの生涯を基にしていますが、史実とは異なるフィクションが多く含まれている点に注意が必要です。

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