ジェイソン・ベッカー

ジェイソン・ベッカー：不屈の天才ギタリスト

ジェイソン・ベッカー（Jason Becker、1969年7月22日 - ）は、ヘヴィメタル界を代表するギタリスト、作曲家です。5歳からギターを始め、クラシックギターの父とブルースギターの叔父から手ほどきを受けました。14歳時には、マイルス・デイヴィスのアルバムに参加したギタリスト、デヴィッド・クリーマーのレッスンも受けています。17歳で送ったデモテープがきっかけで、マイク・ヴァーニーに見出され、マーティ・フリードマンと出会い、カコフォニーを結成しました。

カコフォニー時代

1987年、カコフォニーはアルバム『スピード・メタル・シンフォニー』でデビュー。ジェイソンとマーティのツインギターは大きな話題を呼びました。1988年にはソロデビュー作『パーペチュアル・バーン』を発表。クラシック音楽を基盤とした音楽性と、対位法を取り入れた高度な演奏技術は、他の速弾きギタリストとは一線を画し、速弾きブームに新たな風を吹き込みました。

当時、プロモーターのMONSTER PRODUCTIONSの招聘で来日公演も行っています。

翌年には再来日し、ジェフベックのカバーを中心に演奏、テレビ埼玉で放送もされました。当時愛用していたギターは、アメリカのギターメーカーCARVIN。ジェイソンとマーティの影響で、CARVINの輸入元はモンスタートレーディングとなりました。カコフォニーは1988年に2ndアルバム『ゴー・オフ』を発表後、解散。その後、ジェイソンは元ヴァン・ヘイレンのデイヴィッド・リー・ロスのバンドに加入し、活躍が期待されました。

闘病、そして現在

しかし、1990年、アルバム『ア・リトル・エイント・イナフ』のレコーディング中に異変が起こります。左手足に脱力感が現れ、症状は悪化。筋萎縮性側索硬化症（ALS）と診断されます。アルバムは完成したものの、ライブへの参加は叶わず、バンドを脱退。多くのミュージシャンが彼の治療費を集めるためのベネフィット・コンサートを開きましたが、病状は進行し、表舞台から姿を消すことになります。

1995年、ジェイソンは2ndアルバム『パースペクティヴ〜永遠の情景〜』を完成させます。ギターを満足に弾けない状況の中、マイケル・リー・ファーキンスが演奏を代わるという異例の形で制作されました。また、スティーヴ・ペリーも参加しています。

1997年には呼吸・嚥下・発声能力を失い、体外人工[[呼吸器]]による生命維持を余儀なくされます。会話もできなくなり、眼球の動きによる意思疎通のみとなりました。しかし、彼は音楽への情熱を失わず、未発表曲を集めたアルバムを発表し、トリビュートアルバムも制作されました。2008年には、ベスト盤『コレクション』を発表。マーティ・フリードマン、スティーヴ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニらがギターソロで参加しました。

2014年には、セイモア・ダンカンからシグネイチャー・ピックアップ「パーペチュアル・バーン」が発売。2018年には、豪華ゲストを迎えたアルバム『Triumphant Hearts』をリリースし、話題となりました。

ドキュメンタリー映画

2012年には、彼の生涯を描いたドキュメンタリー映画『Jason Becker: Not Dead Yet』が公開され、各地の映画祭で高い評価を得ました。日本では『ジェイソン・ベッカー NOT DEAD YET〜不死身の天才ギタリスト〜』というタイトルで公開されています。

ALSと闘いながらも、音楽への情熱を燃やし続けるジェイソン・ベッカー。彼の音楽と生き様は、多くの人々に勇気と感動を与え続けています。

もう一度検索