カナダ宇宙庁

カナダ宇宙庁（CSA）

カナダ宇宙庁（Canadian Space Agency, CSA）は、カナダの宇宙開発を主導する政府機関です。イノベーション・科学経済開発省の管轄下にあり、1989年に設立、翌1990年に正式認可されました。本部をケベック州サン・チュベールのジョン・H・チャップマン宇宙センターに置き、首都オタワにはディビッド・フロリダ研究所があります。また、パリ、ワシントンD.C.、ケープカナベラル、ヒューストンに連絡事務所を構えています。

組織規模と特徴

CSAは比較的小規模な組織で、正規職員は約575名、他に臨時職員やインターンシップの学生など約100名が在籍しています。職員の大半はジョン・H・チャップマン宇宙センターに所属しています。特筆すべきは、自国にロケット射場を持たない点です。そのため、国際協力、特にNASAや欧州宇宙機関（ESA）との連携を重視し、技術や人材を宇宙開発に提供しています。

歴史

カナダは1962年にアルエット1号を打ち上げ、旧ソ連、アメリカに次いで世界で3番目に人工衛星を製造した国となりました。アルエット1号は当初1年間の運用予定でしたが、実際には10年間の長期間に渡り運用され、その後のアルエット2号、ISIS-I、ISIS-IIと続く計4機の衛星とともに電離層の研究を大きく進展させました。この功績は1993年にIEEEマイルストーンを受賞しています。

また、1972年にはアニクA-1が打ち上げられ、これによりカナダは世界で初めて静止軌道上に通信衛星ネットワークを構築した国となりました。アルエット1号の打ち上げは、カナダのロケット射場がないため、NASAのヴァンデンバーグ空軍基地から行われました。

カナダの宇宙開発への貢献

CSAは、自国にロケット射場を持たないため、国際協力による宇宙開発を積極的に進めています。特に技術面での貢献は大きく、スペースシャトルのロボットアーム（カナダアーム）や、国際宇宙ステーション（ISS）に搭載されたカナダアーム2は、その代表例です。

これらのアームにはカメラが搭載され、宇宙空間での作業を効率的に行う上で不可欠な存在となっています。ISSの建設においては、スペースシャトルのカナダアームから、ISSのカナダアーム2へと部品が手渡されるなど、その役割は多岐にわたります。コロンビア号の事故以降は、スペースシャトルの外壁に損傷がないかをチェックする目的で、カナダアームにカナダ製のセンサー付き検査用延長ブームが追加されました。

カナダ人宇宙飛行士

2012年現在、8名のカナダ人宇宙飛行士が、合計13回の有人宇宙飛行を行っています。また、1名の宇宙旅行者も存在します。

カナダの人工衛星

CSAの他にも、Telesat Canada社によって多数の商用衛星が打ち上げられています。

アニク（Anik）: 15機が打ち上げられ、うち4機が現在も運用中です。
Nimiq: 3機が打ち上げられ、全てBell ExpressVuにより現在も運用中です。
M-Sat 1: 1996年4月20日に打ち上げられました。

主要施設

ジョン・H・チャップマン宇宙センター: CSAの本部施設です。
ディビッド・フロリダ研究所: オタワにある研究施設です。
フォート・チャーチル射場: カナダの射場ですが、CSAは使用していません。

外部リンク

カナダ宇宙庁公式サイト
Canada in Space
* カナダ宇宙庁法

もう一度検索