ジェイムズ・シールズ (上院議員)

ジェイムズ・シールズの生涯

ジェイムズ・シールズ（James Shields、1810年5月10日 - 1879年6月1日）は、アイルランドで生まれ、アメリカ合衆国で活躍した政治家であり、軍人でした。彼は民主党員として、イリノイ州、ミネソタ州、ミズーリ州という3つの異なる州からアメリカ合衆国上院議員に選出された、アメリカ史上唯一の人物です。

生い立ちと初期の経歴

シールズは、同じくアイルランド生まれで、オハイオ州選出の下院議員を務めたジェイムズ・シールズ（1762年 - 1831年）の甥にあたります。1826年頃にアメリカに移住し、イリノイ州で法律を学び、弁護士としてのキャリアをスタートさせました。その後、イリノイ州議会議員、州最高裁判事、州会計検査官を歴任しました。特に会計検査官に選出された際、彼はまだアメリカ市民権を取得していませんでしたが、当時のイリノイ州の法律では、6ヶ月間の「居住」のみが議員資格の要件だったため、問題なく選出されました。

リンカーンとの決闘騒動

1842年、シールズはエイブラハム・リンカーンとの間で決闘寸前の騒動を起こしました。リンカーンが新聞に掲載した挑発的な手紙が発端となり、シールズはこれを侮辱と受け取り、リンカーンに「釈明」を求めました。事態はエスカレートし、ミズーリ川の島で決闘を行う直前まで進みましたが、両者の介添え人によって、リンカーンが手紙の作者ではないという根拠で和解が成立しました。

米墨戦争での活躍

1846年、シールズは米墨戦争に准将として従軍しました。ザカリー・テイラー将軍の指揮下で、リオ・グランデ川沿いの戦いや、ベラクルス包囲戦、セロ・ゴードの戦いで部隊を率い、負傷もしました。その後もコントレラスの戦いやチュルブスコの戦いに参加し、チャプルテペクの戦いで再度負傷しました。

オレゴン準州知事と上院議員への道

戦争後、シールズはオレゴン準州の初代知事に任命されましたが、上院議員選挙に出馬するために辞退しました。イリノイ州から上院議員に選出されたものの、アメリカ市民としての在籍期間が憲法上の要件を満たしていなかったため、一度無効となりました。しかし、その後、特別選挙で再選を果たしました。

ミネソタ州、南北戦争、そして晩年

1855年に再選を逃したシールズはミネソタ州に移住し、同州から初代上院議員の一人として選出されましたが、再選はなりませんでした。南北戦争では、カリフォルニア州から志願した部隊の准将として参加しました。シェナンドー渓谷での戦いでは部隊を率いて勝利しましたが、その後、少将への昇進が取り消され、軍を辞任しました。

その後、メキシコでの鉱山経営や、ウィスコンシン州での生活を経て、ミズーリ州に移り、州下院議員や鉄道会社の役員を務めました。1879年には、上院議員の死去に伴う空席を埋めるために選出されましたが、わずか3ヶ月間務めただけで、再選は辞退しました。シールズはアイオワ州で亡くなり、ミズーリ州の墓地に埋葬されています。

功績

シールズは、1854年に『イリノイ州の歴史、1818年の州昇格から1847年まで』を編集しました。また、国立彫像ホール・コレクションには、イリノイ州を代表する人物として彼の彫像が収められています。

まとめ

ジェイムズ・シールズは、政治家、軍人として多彩な経歴を持ち、アメリカの歴史にその名を刻みました。3つの異なる州から上院議員に選出されたという稀有な記録を持ち、またリンカーンとの決闘騒動や米墨戦争での活躍など、数々の逸話が残されています。

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