ザカリー・テイラー

ザカリー・テイラーの生涯と業績

ザカリー・テイラーは1784年11月24日、バージニア州オレンジ郡に生まれました。彼の家族は農園主であり、父リチャード・テイラーはアメリカ独立戦争に従軍しました。テイラーは、メイフラワー誓約に署名したピルグリム・ファーザーズの一人、ウィリアム・ブリュースターの子孫でもありました。彼は多くの兄弟と共に成長し、家族は常に農園の経営に従事していましたが、教育環境は乏しく、基本的な読み書きの教育しか受けられませんでした。

テイラーは1818年に陸軍に入隊し、その後の40年間にわたって多くの戦争に従軍しました。米英戦争では彼の指揮の下、ショーニー族との戦いで著名な戦功を上げ、さらなる昇進がなされました。次第に彼は軍の中で注目される存在となり、百戦百勝の兵士として知られることになります。特に1846年、米墨戦争ではリオグランデ川での戦いで圧倒的不利な状況にも関わらずメキシコ軍を打ち破り、英雄として評価されました。

1848年、テイラーはホイッグ党から大統領選挙に出馬し、ルイス・カスを破って第12代大統領に就任しました。彼の大統領在任中、テイラーは南北の緊張を緩和しようとする姿勢を持ちながらも、奴隷制度を巡る問題に対して穏健な見方を示しました。その結果、彼は南部州からの反発を招くことになりましたが、テイラー自身は政治的な権力を増すことにはあまり興味がなく、実行すべき法を実施することに注力しました。

大統領としてのテイラーは、ニューメキシコやカリフォルニアの移民に対して州としての憲法の起草を提案し、これは後に1850年の協定の前段階ともなりました。彼は「自由州」のカリフォルニアの昇格を望む一方で、南部の反発に対しても強硬な姿勢を示しました。

しかし、テイラーの任期は短命に終わります。彼は1850年7月4日のワシントン・モニュメントでの式典後、病気にかかり、胃腸炎と考えられる病により7月9日に亡くなりました。彼の死は早すぎるものであり、彼自身の政治的な意図は最後まで遂げられることはありませんでした。

テイラーの死後、副大統領のミラード・フィルモアが大統領に昇格しました。彼の死はアメリカの歴史の中で多くの陰謀論を生むこととなり、一部では毒殺説も流れましたが、後の研究によってコレラが主因であった可能性が示唆されました。

テイラーの大統領在任中、彼は初の軍人出身の大統領として知られ、南北戦争の火種ともなったいくつかの政策には、後に長期にわたる影響を与えることとなりました。また、テイラーに続いて南部から出馬し大統領となる者は長らく現れませんでした。彼の個性的な性格や、愛馬を使って気晴らしをする姿は、後の世代に語り継がれています。大統領として短い任期ながらも、彼の影響力は今なおアメリカの歴史に刻まれています。

もう一度検索