ジェイムズ・ボズウェル

ジェイムズ・ボズウェルの生涯と業績

ジェイムズ・ボズウェル（James Boswell）は、1740年10月29日にスコットランドのエディンバラで生まれました。法曹界でのキャリアを持ちながら、作家としてもその名を馳せた彼は、特に『サミュエル・ジョンソン伝』により、その名声を確立しました。この作品は伝記文学の傑作と評され、多くの人々に愛読されています。

教育と初期のキャリア

ボズウェルの父は裁判官であり、彼は家族の影響を受けて法学を学ぶことを選びました。グラスゴー大学で法律を学び、アダム・スミスからも教えを受けるという恵まれた環境で過ごしました。1763年にロンドンで著名な辞典編纂者であるサミュエル・ジョンソンと出会い、彼との友情がその後の人生に大きな影響を及ぼしました。

1763年から1766年にかけてのグランドツアーでは多くの経験をしたボズウェルは、オランダのライデン大学で学んだ後、ドイツやスイスを訪問。特にスイスでは、ヴォルテールに会うために訪れたことが記録されています。一方でイタリアでは放蕩にふけった時期があり、これが彼の後の自堕落な生活につながる一因とされています。

法律家としての活動

1766年以降、エディンバラに戻ったボズウェルは弁護士として活動を始めました。1768年には『コルシカ島記』を刊行し、これが彼の文才を世に知らしめるきっかけとなりました。1769年に結婚し家庭を持つも、酒とギャンブルに溺れる生活へと陥り、経済的にも厳しい状況が続いたことも無視できません。

1782年には父の死去を受けてオーキンレックの領主となりましたが、人生の波乱は続きました。ジョンソンとの関係は続き、彼の死後には伝記執筆を依頼されることとなります。

『サミュエル・ジョンソン伝』の執筆

彼の名声は、『サミュエル・ジョンソン伝』が刊行された1791年に決定的となります。この伝記では、師であるサミュエル・ジョンソンの生涯と思想、言動を詳細に描写しています。ボズウェルは卓越した記憶力を持ち、ジョンソンの話を速記で記録し、帰宅後に整理していくという細やかな作業をしました。彼の手法は後に「ボズウェル流」と呼ばれるスタイルにつながり、文献の価値を高めました。

さらに、彼は関連する人物への聞き取りや文書を活用して伝記を完成させており、これにより作品は単なる記録を超えたものとして評価されています。

遺産と影響

ボズウェルは、20世紀になってオーキンレックに遺した膨大な文書（日記、旅行記、伝記草稿など）が発見され、その重要性が再評価されました。イエール大学に所蔵されているこれらの文書は、1950年から1989年までの期間にわたり、全13巻として刊行されています。

語録と影響

ボズウェルはまた自身の考えや感情を文章に残しており、その中には友情や愛国心、時には怒りを表現したものもあります。その一部は以下の通りです：

• - "どのような無邪気な機知や冗談も抑制されるべきではないと思う：良いダジャレは活気ある会話の小さな優れた特徴の一つである。"
• - "友情が形成される正確な瞬間は分からない。瓶に水を滴り落とすように、最後に一滴が溢れさせるのだ。"
• - "私は自国の人々に心が温まり、スコットランドの血が怒りで沸騰した。立ち上がって叫んだのだ、『くたばれ、悪党ども！』と。"

彼の人生と作品は、伝記文学の金字塔として今もなお読み継がれており、後の世代に大きな影響を及ぼし続けています。

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