ジェイ・シェレン

ジェイ・シェレン：多彩な才能を持つアメリカ人ドラマー

ジェイ・シェレン（Jay Schellen、1960年5月20日生まれ）は、アメリカ合衆国出身のドラマーであり、ハードロックバンド「ハリケーン」のメンバーとして広く知られています。しかし、彼の音楽キャリアはそれだけに留まらず、エイジア、ワールド・トレイド、サーカ、アンルーリー・チャイルド、イエスといった、数多くの著名なヘヴィーロックおよびプログレッシブ・ロックバンドとも共演しています。

若き才能の開花とセッション・ミュージシャンとしての活躍

1979年、10代の頃のシェレンは、R&B界のレジェンド、アル・ウィルソン（代表曲「Show and Tell」で知られる）のツアーに同行し、早くも大きなステージでの経験を積みました。1981年にロサンゼルスに移住後、彼は地元のセッションシーンに身を投じ、元イエスのギタリスト、ピーター・バンクスのバンドや、ZZトップのサポートとしてダニー・ジョンソン・アンド・ザ・バンディッツと共演しました。1982年には、イギリスのポップバンド、バッドフィンガーに加入し、トミー・エヴァンズ、ジョーイ・モーランド、グレン・シャーバ、そしてイエスのキーボーディストであるトニー・ケイらと活動を共にしました。

ハリケーンでの成功と、その後の活動

1984年、シェレンはストーン・フューリーに参加し、歌手のレニー・ウルフやギタリストのブルース・ゴウディと共演しました。1985年から1991年まで、彼はメロディック・ロックグループ「ハリケーン」の一員として活動し、アルバム『TAKE WHAT YOU WANT』、『オーバー・ジ・エッジ』、『スレイヴ・トゥ・ザ・スリル』の3枚をリリース。3度のワールドツアーを行い、MTVビデオのトップ10に2曲を送り込むなど、大きな成功を収めました。1993年には、ゴウディと共に新たなメロディック・ロックプロジェクト「アンルーリー・チャイルド」を結成し、セルフタイトルのCDをリリース。1995年には、ゴウディとの再タッグで、ビリー・シャーウッド（後にイエスに加入）率いるワールド・トレイドのセカンド・アルバム『ユーフォリア』に参加しました。

1994年から1997年にかけては、元アクセプトのデヴィッド・リース、元ヴェンジャンス・ライジングのラリー・ファーカス、元バッドランズのグレッグ・チェイソンと共に「サークル・オブ・サイレンス」を結成。1997年には、ドラムメソッド本『Rocking Independence』を出版しています。1998年には、元ハリケーンのバンドメイトであるケリー・ハンセンと共に、ギタリスト、スチュアート・スミスのアルバム『ヘヴン・アンド・アース』で演奏しました。1998年から1999年には、ゴウディとハンセンとの再会で、アンルーリー・チャイルドの2枚目のアルバム制作に携わりました。1999年には、シャーウッドのデビュー・ソロアルバム『The Big Peace』に参加し、翌年には、イエスのベーシストであるクリス・スクワイアと共に、シャーウッドのプロジェクト「コンスピラシー」でレコーディングを行いました。2003年には、「コンスピラシー」に再び参加し、アルバム『The Unknown』をレコーディング。2004年にレコーディングされ、2006年にリリースされたスタジオでのライブDVDも制作されました。

プログレッシブ・ロックへの傾倒とイエスへの加入

2008年には、プログレッシブ・グループ「サーカ」に加入（アラン・ホワイトの後任）。サーカでは、キーボードのトニー・ケイ、ギターのジミー・ホーンとも再会しました。彼らは2009年1月にアルバム『ヘッド・クオーター』をリリース。また、バンドの初期段階でYOSOと共演し、シャーウッドやケイとの再共演を果たしました。2010年には、シャーウッド、ジミー・ホーン、ケイと共に、ロサンゼルスのレーザー博物館で開催された、伝説的なロックンロールDJ、ジム・ラッドとのコラボレーションで「Headsets」を演奏しました。

2004年には、エイジアのアルバム『サイレント・ネイション』で、ジェフ・ダウンズ（元イエスのキーボード奏者）とのプリプロダクションに取り組みました。2005年8月、クリス・スレイドに代わってエイジアのドラマーとなり、ヨーロッパツアーを行い、ライブレコーディングをリリース。しかし、2006年にダウンズがオリジナルメンバーでエイジアを再結成するために脱退すると、残されたシェレンと他の2人のエイジアメンバー、ジョン・ペインとガスリー・ゴーヴァンは、新バンド「GPS」を結成し、デビューアルバム『ウィンドウ・トウ・ザ・ソウル』をリリースしました。2008年には、「エイジア・フィーチャリング・ジョン・ペイン」が、ペイン、ゴーヴァン、キーボード奏者のエリク・ノーランダー、そしてシェレンというラインナップで結成され、アルバムは「デュークス・オブ・ジ・オリエント」という新しい名前でリリースされました。この頃、アンルーリー・チャイルドも再結成しています。

2016年、シェレンはイエスのドラマー、アラン・ホワイトが背中の手術から回復するまでの間、一時的に代役を務め、回復後も2017年2月までホワイトと共に演奏を続けました。2017年11月からは、関節の細菌感染症と闘っているホワイトをサポートするために、2人目のゲストドラマーとして演奏。そして2022年5月、ホワイトの死去により不在となっていたイエスのドラマーとして、2023年2月に正式加入を果たしました。

シェレンは、dwドラム、Remoドラムヘッド、ジルジャンシンバルとスティックを使用しています。

ジェイ・シェレンの音楽への情熱と才能は、数々のバンドやプロジェクトでの活動を通して、多くのファンを魅了し続けています。

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