ジェニー・オーガスタ・ブランズクーム

ジェニー・オーガスタ・ブランズクーム

ジェニー・オーガスタ・ブランズクーム（1850年 - 1936年）は、アメリカを代表する画家、版画家、イラストレーターです。彼女は、ペンシルベニア州の農家で生まれ育ち、父は1840年ごろにイギリスから移民としてアメリカに渡り、母は1630年のメイフラワー号での入植者の子孫という背景を持っています。ブランズクームは、当時のアメリカにおける独立戦争の精神を次世代に伝えるため、米国独立戦争を記念する「ドーターズ・オブ・アメリカン・リボリューション」や、「歴史・景勝地保存会」などの団体に参加し、地域の歴史や文化を守る活動にも尽力しました。

彼女の美術の道は、父の死がきっかけとなりました。18歳のときに父を失い、より良い生活を求めてニューヨークに移り住むことを決意します。そこで、ドイツ出身の画家ヴィクター・ネーリクに師事し、1872年にはクーパー女子美術学校を卒業しました。その後、2年間、ナショナル・アカデミー・オブ・デザインでレミュエル・ウィルマースに学んだ後、アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークに参加し、教鞭をとることになります。

ブランズクームは、新聞に挿絵を提供したり、短い美術に関する記事を書いたりすることで、自身の作品を広めました。彼女は1878年から1881年の間にナショナル・アカデミーに戻り、作品がいくつかの賞を受賞するなど、注目を集めます。また、パリに滞在していた画家ヘンリー・モスラーのスタジオで学んだことも、彼女の作品に大きな影響を与えました。

作品のテーマは、イギリス植民地時代から独立戦争にかけてのアメリカの歴史が中心で、特に「プリマスでの最初の感謝祭」という作品はマサチューセッツ州のピルグリム・ホール博物館に収蔵されています。このため、彼女の作品は多くの複製画やグリーティング・カードとして販売され、ワシントンD.C.の国立女性美術館でも展示されました。

生涯を通じて結婚はせず、1885年にはローマでアメリカの画家ジョージ・ヘンリー・ホールと出会い、彼からの指導を受けるようになります。その後、ホールのスタジオで活動を続け、彼が亡くなった1913年には、彼の邸宅を贈られるなど、深い関係を築きました。ブランズクームは、女性アーティストとして美術の世界で生き抜き、自らの作品を通じてアメリカの歴史を後世に伝える努力を続けました。彼女の影響は、今日においても評価され続けています。

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