ジェネティック・セクシュアル・アトラクション

ジェネティック・セクシュアル・アトラクション（GSA）

ジェネティック・セクシュアル・アトラクション（Genetic Sexual Attraction: GSA）とは、幼少期など成長の過程で別々に育った血縁関係にある人々が、大人になってから再会した際に、互いに対して性的魅力を感じてしまう現象を指します。

この現象は、一般的に知られる「ウェスターマーク効果」と対照的です。ウェスターマーク効果とは、乳幼児期や幼少期から共に育てられた近親者間では、性的な興味や魅惑が生じにくいという生物学的な刷り込み効果のことです。多くの社会で近親相姦がタブー視されにくいのは、この効果が自然に働くためと考えられています。

しかし、GSAはウェスターマーク効果が働く機会がなかった状況で起こりやすいとされています。例えば、養子縁組によって実の親や兄弟姉妹と離れて育った子供が、成人してから初めて、あるいはごく幼い頃以来の再会を果たした場合などに、見知らぬ相手として出会った血縁者に対して、恋愛感情や性的魅力を抱いてしまうことがあると報告されています。

なぜこのような現象が起こるのか、その原因については諸説あります。血縁関係にあるため、自己自身の身体的特徴や遺伝的特徴に類似点が多いことが、無意識のうちに魅力的な交配相手候補として認識される可能性が指摘されることがあります。これは、ある程度の遺伝的多様性を維持しつつ、同時に自己に有利な遺伝子を残そうとする生物的なメカニズムに関連する仮説ですが、GSAの全ての事例を明確に説明するものではありません。実際には、再会という特殊な状況下での強い感情的な繋がりや、お互いを深く知りたいという欲求などが複雑に絡み合って生じる心理的な要素も大きいと考えられています。

GSAの存在を示す事例として、メディアで取り上げられたケースがあります。2008年には、スコットランドで近親相姦の罪で有罪判決を受けた異父兄妹が、アメリカのテレビ番組『グッド・モーニング・アメリカ』に出演しました。彼らは子供時代に一緒に育っておらず、大人になってから出会い、互いに強く惹かれ合った結果として関係を持ったことを明かし、この現象をGSAによるものだと説明しました。この事例は、GSAが現実社会において倫理的、そして法的な問題を引き起こす可能性を示唆するものとして、広く議論を呼びました。

GSAや、それに類する離れ離れになった血縁者間の再会と感情というテーマは、古今東西の文学作品やフィクションでも描かれてきました。ドラマチックな状況設定や、複雑な人間関係を描く上で題材として魅力的な側面があるためと考えられます。以下に、GSAや近親間の感情を扱ったとされる主な作品や、このテーマを取り上げたメディアを挙げます。

GSAを扱った作品・番組

文学作品
ヴィルヘルム・マイスターの修業時代（ゲーテ）
オイディプス王（ソポクレス）
悪魔が来りて笛を吹く（横溝正史）
漫画
罪に濡れたふたり（北川みゆき）
恋風（吉田基已）
たーたん（西炯子）
ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン（荒木飛呂彦）
僕たちは繁殖をやめた（さおとめやぎ）
テレビドラマ
偽りの花園 (2006年、東海テレビ)
ゲーム
ヨスガノソラ（Sphere発売の18禁恋愛アドベンチャーゲーム）
情報番組
ザ!世界仰天ニュース

関連項目

近親愛
近親相姦
偶発的近親相姦
ウェスターマーク効果
* コンサングィナモリー

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