ジェノシデール

ジェノシデール：ルワンダ虐殺の加害者たち

「ジェノシデール」とは、フランス語で「虐殺者」を意味する言葉ですが、特に1994年のルワンダ虐殺において、ジェノサイドに加担した人々を指す言葉として用いられます。

ルワンダ虐殺の背景

1994年4月から7月中旬までの約100日間、ルワンダではフツ族過激派によって、多数のツチ族と穏健派のフツ族が虐殺されました。その数は100万人近くにのぼります。この虐殺に関与したのは、ルワンダ軍、インテラハムウェやインプザムガンビといった民兵組織、そして一般市民でした。

1994年7月中旬にルワンダ愛国戦線が政府軍の拠点を制圧すると、虐殺は終結しました。ジェノシデールたちは逮捕されるか、コンゴ民主共和国などの近隣諸国へ難民として逃亡しました。フランス語圏諸国によるトルコ石作戦は、ジェノシデールの逃亡を助長したとして、ルワンダ政府から非難されています。

ジェノシデールの処遇

逮捕されたジェノシデールのうち、指導者層や組織化を行った者は、タンザニアのアルーシャに設置されたルワンダ国際戦犯法廷で裁かれました。同法廷は1996年5月に開始され、2010年末までに全裁判を完了しました。

虐殺に参加した者や、ツチ族の所有物を奪った者は、2001年以降、ルワンダ国内のガチャチャ（伝統的な裁判制度）で裁かれることになりました。ガチャチャは、大量の囚人を減らし、民族融和を国際社会に示すとともに、犯罪者を減刑・釈放することで政権支持基盤を確保する目的があったと言われています。

現在も一部のジェノシデールは逃亡を続けており、ルワンダ国際戦犯法廷によって国際指名手配されています。

主要なジェノシデール

以下は、ルワンダ虐殺における主要なジェノシデールの一部です。

テオネスト・バゴソラ： 旧ルワンダ軍退役軍人で国防省官房長。ジェノサイドの計画・遂行の中心人物として、人道に対する罪で無期懲役の判決を受けました。
ジョルジュ・ルタガンダ： インテラハムウェ全国委員会第二副議長。インテラハムウェの設立に関与し、公立技術学校の虐殺などに関与しました。ルワンダ国際戦犯法廷で無期懲役の判決を受けました。
エリザファン・ンタキルティマナ： ルワンダ西部セヴンスデー・アドヴェンティスト教会長。病院やビセセロの虐殺に関与した疑いで起訴され、懲役10年の判決を受けました。
アタナゼ・セロンバ： カトリック司祭。ニャルブイェ大虐殺において、自身の教会を破壊することに協力し、ジェノサイドと人道に対する罪で無期懲役の判決を受けました。
シルヴェストル・ガチュンビチ： キブンゴ県ルソモコミューンの長。ニャルブイェの避難民を教会へ避難させた後、インテラハムウェと協力して教会を破壊し、虐殺を行いました。懲役30年の判決を受けましたが、現在上告中です。
ジャン＝バティスト・ガテテ： ムランビの元首長。ルワンダ東部地域の虐殺を指揮しました。虐殺終結後にはタンザニアへ逃れましたが、後に逮捕され起訴されました。
イデルフォンス・ニゼイマナ： 旧ルワンダ軍大尉。ブタレ州の虐殺に関与しました。2009年にウガンダで逮捕されました。
オギュスタン・ビジムング： 旧ルワンダ軍少将。虐殺時に大統領警護隊や軍の指揮を行いました。禁錮30年の判決を受けました。
グレゴワール・ンダヒマナ： 元市長。教会へ逃れた2000人のツチ族虐殺に関与した疑いで指名手配され、後に逮捕されました。
フェリシアン・カブガ： フツ過激派系の政党や民兵組織への資金援助などを行いました。2020年にフランスで逮捕されました。
オギュスタン・ビジマナ： 旧ルワンダ政権の国防大臣。ジェノサイドの計画、扇動などを行った嫌疑がかけられていましたが、2000年に死去していたことが発表されました。

国際指名手配中のジェノシデール

以下は、現在も国際指名手配されているジェノシデールの一部です。

フルゲンス・カイシェマ
プロタイス・ムピラニャ
ベルナール・ムニャギシャリ
フェニーズ・ムニャルガラマ
アロイース・ンディムバチ
ラディスラス・ンタガンズワ
シャルル・リャンジカヨ
シャルル・シクブワボ
ジャン＝ボスコ・ウウィンキンジ

ルワンダ虐殺は、20世紀後半における最悪のジェノサイドの一つとして、世界史に深く刻まれています。ジェノシデールたちの罪は、決して忘れられることはありません。

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