ジェリコ941

ジェリコ941（Jericho 941）

ジェリコ941は、イスラエルの武器メーカーIMI（現：IWI）によって開発された自動拳銃で、1990年から市場に登場しています。一般的には「ベビーイーグル」という愛称で知られています。この名称は、同社の人気拳銃デザートイーグルにちなんで名付けられたものです。

設計と技術

ジェリコ941の設計は、イタリアのタンフォリオ社から技術協力を受け、チェコのCz75を基にしています。そのため、Cz75の特性を受け継ぎつつ、スライドマウントセーフティーとデコッキング機能を追加し、剛性の強化を図っています。メンテナンスの容易さも特筆される点であり、ユーザーにとって使いやすい作りとなっています。

さらに、デザイン面でもデザートイーグルシリーズの影響を反映しており、マズルからスライドにかけての台形形状や、グリップのテクスチャー、ハンマーの形状、グリップフレームのテール部分の形状に工夫が施されています。これは、北米市場で成功を収めるための工夫とも考えられます。

発射可能弾薬

ジェリコ941は、同じスライドとフレームを使いながらも、銃身やマガジンを交換することで、9x19mmパラベラム弾だけでなく、.41AE弾や.40S&W弾、更にはジェリコ945では.45ACP弾も使用可能です。特に販売当初は9mm弾と.41AE弾の交換キットが販売されていましたが、.40S&W弾が人気を博したことから、.41AE弾の交換キットは早期に市場から撤退しました。

フレーム素材

当初はスチール製がメインでしたが、後にポリマーフレーム製モデルもラインナップに加わりました。また、各種オプションを取り付けられるマウントレール付きのモデルも用意され、カスタマイズの自由度が高い点も魅力です。

名前の由来

ジェリコという名称は、パレスチナの都市エリコに由来しています。941という数字は、使用可能な弾薬である9x19mmパラベラム弾と.41AE弾の両方を意味しています。在アメリカの輸入業者マグナムリサーチ社によって「ベビーイーグル」と名付けられた他にも、「デザートイーグル」や「ウージーイーグル」といった多様な呼称が存在します。

バリエーション

ジェリコ941には、セーフティ方式（コックアンドロックまたはデコッキング）、サイズ（フルサイズ、セミコンパクト、コンパクト）、そして使用素材（スチールまたはポリマー）に基づき、12の異なるモデルが用意されています。例えば、コックアンドロック、フルサイズのスチールモデルは「Jericho 941 F」となり、一方でデコッキング、コンパクト、ポリマー製モデルは「Jericho 941 RBL」という型番が付けられます。各モデルの装弾数も異なり、一般的には9x19mm弾の場合、フルサイズとセミコンパクトは16発、コンパクトは13発と10発の装弾が可能です。

近年の動向

2009年には、IWI社が方針転換を行い、ジェリコ941の後継モデルとして「バラク」が統合され、新たに「ジェリコB」として販売されました。バラクの名称から派生した「B」は、全く異なる新設計の武器となっており、詳細はIMI バラクSP-21の項目にて確認できます。

海外製の互換モデル

国際的にもジェリコ941の影響を受けたモデルが存在します。例えば、ルーマニア製のクジール M92やmd.2000、ウクライナ製のFort 21.03など、各国で独自の改良が施されています。

おわりに

ジェリコ941は、その独特なデザインと豊富なバリエーションから、多くの愛好者に支持されています。長い歴史を持つこの自動拳銃は、今後も注目され続けることでしょう。

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