ジェリーとジャンボ

ジェリーとジャンボ：予測不能な珍騒動！

1953年2月21日公開の『トムとジェリー』シリーズ、『ジェリーとジャンボ』（劇場公開時『脱線小僧』）は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督による、忘れられない一編です。この短編アニメーションは、サーカス列車から転落した子ゾウ、ジャンボがトムの家に入り込むことから始まる、予想外の出来事を描いたコメディです。

真夜中の出来事

物語は、深夜に走行するサーカス列車から子ゾウのジャンボが転落するシーンから始まります。母親と離れ離れになったジャンボは、偶然にもトムの家にたどり着きます。一方、トムは眠りにつこうとしていたところ、ベッドの下で何かが動いていることに気づきます。なんとそれはジャンボでした。

トムとジェリーの予期せぬ共闘

ジャンボは、トムを乗せたまま走り出し、眠っていたトムを振り落とした後、トムのミルクを盗み飲みします。この時、ジェリーも冷蔵庫からミルクを盗んでおり、トムはジェリーをミルク泥棒だと勘違いして襲いかかります。しかし、そこにジャンボが現れ、鼻でジェリーを吸い取って救出するというハプニングが発生します。この出来事をきっかけに、ジェリーとジャンボは奇妙な友情で結ばれます。

巨大ネズミ作戦

その後、2匹はトムに見つからないように落花生を盗もうとしますが、トムに見つかって物置部屋に追い詰められます。窮地に陥ったジェリーは、ジャンボに同じ色のペンキを塗りつけ、巨大ネズミに化けさせる作戦を思いつきます。トムは、ジェリーと巨大ネズミの入れ替わりに混乱し、ドタバタ劇を繰り広げます。

親子ゾウの登場と大混乱

そこに、ジャンボを探していた母親ゾウが現れます。再会した親子ゾウは、今度は母親ゾウもペンキで巨大ネズミに化けます。ジェリーと母親ゾウ、そして子ゾウジャンボ。巨大ネズミと超巨大ネズミの登場に、トムは完全にパニック状態に陥り、ついに発狂して逃げていくのです。

個性豊かなキャラクターたち

本作では、お馴染みのトムとジェリーに加え、子ゾウのジャンボとその母親が重要な役割を担っています。トムはジャンボの出現により、ジェリーを捕まえるどころか、自分自身も窮地に陥ります。一方、ジェリーはジャンボと協力してトムを翻弄し、状況を有利に進めていきます。ジャンボと母親ゾウは、圧倒的なパワーと意外な知略で、トムを翻弄し続ける存在感を放っています。

アニメーション史における意義

『ジェリーとジャンボ』は、トムとジェリーの定番のドタバタ劇に、新たな要素を加えた革新的な作品と言えるでしょう。子ゾウジャンボという予想外のキャラクターの登場は、物語に新鮮な驚きと笑いを提供しています。また、ジェリーとジャンボの協力関係は、シリーズ全体を通して見られる猫とネズミの対立構造を覆す、興味深い試みでもあります。

様々な影響

この作品は、後年のアニメーション作品にも影響を与えています。例えば、1966年のチャック・ジョーンズ監督作品『象さんはジェリーの味方』や、ディズニーの『ダンボ』などは、本作と共通点を見出すことができます。さらに、2001年にはファットボーイ・スリムのミュージックビデオ『Ya Mama』で、本作の一部が使用されました。

『ジェリーとジャンボ』は、単純なドタバタ劇を超えた、想像力豊かなストーリー展開と、魅力的なキャラクターたちによって、今もなお人々を魅了し続けている名作です。

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