象さんはジェリーの味方

トムとジェリー：象さんのジェリーの味方

チャック・ジョーンズ監督による1966年制作のトムとジェリー短編アニメーション『象さんはジェリーの味方』（原題：Jerry-Go-Round）は、サーカスを舞台にしたドタバタ劇です。お馴染みのトムとジェリーに加え、サーカスの象が重要な役割を果たす、個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、子供から大人まで楽しめる内容となっています。

物語は、トムに追いかけられたジェリーが、逃げ込んだサーカス小屋で、痛そうにしている象を偶然発見するところから始まります。象の足の裏には画鋲が刺さっており、ジェリーがそれを抜いてあげると、象はジェリーに深い感謝を示します。こうして二人は友情を育み、サーカスの人気者となります。

一方、ジェリーを捕まえ損ねたトムは、執拗にジェリーを追いかけ続け、サーカス小屋に何度も侵入を試みます。しかし、ジェリーの味方となった巨大な象によって、トムは容赦なく痛めつけられます。象の圧倒的な力とジェリーの機転の良さの前に、トムの作戦はことごとく失敗に終わります。

トムは、ジェリーへの怒りと嫉妬に駆られて、ついに大胆な計画を実行に移します。サーカスのパレードのルートにダイナマイトを仕掛け、象とジェリーを爆破しようと企むのです。トムはマンホールに隠れて、象がダイナマイトの発破装置を踏むのを待ちます。しかし、計画は思わぬ方向へと転がります。象の力強い足取りとパレードの音楽による振動が、仕掛けたダイナマイトをマンホールの中に落としてしまったのです。結果として、トム自身がダイナマイトの爆発に巻き込まれ、計画は見事に失敗に終わります。

この作品の見どころは、何と言ってもトムと象の対決です。象の圧倒的なパワーと、トムのドジな行動とのコントラストが、笑いを誘います。また、ジェリーと象の友情も、物語に温かさと感動を与えています。

さらに、オープニングシーンでは、トムとジェリーが追いかけっこをしている様子が、タイトルと共に表示されます。エンディングでは、トムが「THE END」と書かれた白旗を掲げる、コミカルな演出が用いられています。日本語版では、男性の声による「おしまい」のナレーションも加えられています。

この作品は、チャック・ジョーンズ監督独特のユーモラスな演出と、テンポの良い展開が特徴です。トムとジェリーの定番の追いかけっこに加え、サーカスという舞台設定と象という意外なキャラクターの登場が、新鮮な面白さを提供しています。ダイナマイトを使ったドタバタ劇も、ハラハラドキドキさせつつ、最後はコミカルなオチで締めくくられ、観る者を飽きさせません。

『象さんはジェリーの味方』は、トムとジェリーの他の作品と同様に、時代を超えて愛される傑作と言えるでしょう。DVDにも収録されており、繰り返し観ても楽しめる、何度でも楽しめる作品です。 1980年頃には日本テレビ系「木曜スペシャル・おかしなおかしな トムとジェリー 大行進」で放映され、多くの人々に親しまれてきました。

この作品は、1953年の『ジェリーとジャンボ』や1952年の『ブルおじさん』といった、動物を味方につけたジェリーがトムを出し抜く物語と共通点があります。これらの作品と比較検討することで、『象さんはジェリーの味方』の魅力をより深く理解することができるでしょう。

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