ジェリーの仕返し

ジェリーの仕返し：ビリヤードと魔法の逆転劇

チャック・ジョーンズ監督による1965年制作のトムとジェリー作品『ジェリーの仕返し』(原題：Of Feline Bondage)は、痛快な逆転劇とユーモラスな描写が魅力の短編アニメーションです。

物語は、トムが得意とするビリヤードから始まります。巧みにキューを操るトムに対し、ジェリーは次々と転がる玉に翻弄されます。逃げ込んだはずの自宅で、8番玉に潰されるという不幸に見舞われます。

散々な目に遭ったジェリーは、意を決してネズミの妖精に助けを求めます。これまでの屈辱を訴えるジェリーの心情に打たれた妖精は、魔法の薬を授けます。その薬を飲んだジェリーは、なんと透明人間になってしまうのです。

透明になったジェリーは、トムへの痛快な仕返しを開始します。待ち伏せするトムを出し抜き、さらにハサミでトムの毛を次々と刈り取っていくのです。オバケにでも出会ったかのように、トムは恐怖のあまり逃げ惑います。全身の毛を刈られ、最後は下着姿で地面にへたり込む哀れな姿に。

しかし、ジェリーの勝利は長くは続きません。透明効果が切れた瞬間、ジェリー自身の姿がトムの前に露呈。今度はトムがジェリーの毛を刈り取るという、痛快なやり取りが繰り広げられます。

最後は、お互いの仕返し合戦に疲れ果てたトムとジェリーが、床の上で転げ回りながら大爆笑する、というユーモラスな結末を迎えます。

スタッフ

製作・監督：チャック・ジョーンズ
共同監督：モーリス・ノブル
脚本：チャック・ジョーンズ、ドン・トゥスリー
原画：ベン・ワーシャム、ケン・ハリス、ドン・トゥスリー、トム・レイ、ディック・トンプソン
背景：ロバート・グリブブローク
音楽：ユージン・ポッダニー
製作担当：レス・ゴールドマン
撮影：メトロカラー
制作：MGMアニメーション/ビジュアル・アーツ
配給：メトロ・ゴールドウィン・メイヤー

登場人物

トム：ビリヤードでジェリーを攻撃するも、透明になったジェリーに毛を刈られる。最後は仕返しとしてジェリーの毛を刈る。
ジェリー：トムのビリヤード攻撃を受けるが、妖精からもらった薬で透明になり、トムに仕返しをする。しかし、効果が切れてトムに毛を刈られる。
ネズミの妖精：ジェリーの願いを聞き入れ、透明になる薬を与える。

関連作品

トムとジェリー
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
透明ネズミが登場する他の作品
『忍法ネコだまし』(ハンナ＝バーベラ期の作品。透明になるクリームが登場する)
『玉つきゲームは楽しいね』(ハンナ＝バーベラ期の作品。ビリヤードと8番玉が登場する)

本作品は、チャック・ジョーンズ独特の演出と、トムとジェリーのコミカルなやり取りが見事に融合した傑作と言えるでしょう。予測不能な展開と、クスッと笑えるユーモアが、観る者を飽きさせません。ビリヤードという意外なアイテムと、魔法の薬による驚きの展開は、何度見ても新鮮な驚きを与えてくれます。トムとジェリーファンはもちろん、アニメーション好きにも強くおすすめしたい作品です。

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