ジェンダー・エンパワーメント指数

ジェンダー・エンパワーメント指数（GEM：Gender Empowerment Measure）は、社会における女性の地位や活躍度を測るために、国連開発計画（UNDP）が導入した指標です。具体的には、女性が政治や経済の意思決定過程にどれだけ参加できているかを数値化し、各国のジェンダー平等の度合いを評価することを目的としています。

GEMは、主に以下の3つの側面から算出されます。

政治参加と意思決定: 国会議員に占める女性の割合を評価します。
経済活動への参加と意思決定: 管理職や専門職・技術職に就く女性の割合を評価します。
経済的資源へのアクセス: 男女の推定所得の格差を評価します。

これらの要素を基に、以下の手順でGEMが算出されます。

1. 各要素について、男女の比率を用いて「等分布等価比率（EDEP）」を算出します。EDEPは、男女が完全に平等な状態（50%）を理想値とします。

`EDEP = {女性の人口比率（女性の指標－1）＋男性の人口比率（男性の指標－1）}－1`

2. 算出された3つのEDEPを単純平均し、GEMの値とします。

GEMは、かつて人間開発報告書で公表されていましたが、2009年を最後に発表は終了し、2010年からはジェンダー不平等指数（GII）に移行しました。

過去のデータでは、スウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国が上位にランクインしていました。一方で、日本は57位と比較的低い順位に位置していました。

ただし、GEMにはいくつかの問題点も指摘されています。例えば、看護職のように女性が多数を占める職業が評価対象外であることや、女性に対する不平等が深刻な国が比較的高いスコアを得ている場合があることなどが挙げられます。これらの理由から、GEMはジェンダー平等を測る指標として不十分であるという意見もあります。

関連指標

ジェンダー開発指数（GDI）
ジェンダー・ギャップ指数（GGI）

これらの指標と合わせて、GEMの結果を多角的に分析することで、より深くジェンダー平等の現状を理解することができます。

関連項目

男女同権
* エンパワーメント

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