ジェームス・モリソン (パイロット)

ジェームス・アラン・"ジム"・モリソンは、1905年4月19日にスコットランドのグラスゴーで生まれ、1959年10月30日にその生涯を閉じました。彼は1930年代に数々の記録飛行を達成し、その名を轟かせたスコットランド人パイロットです。

モリソンは非常に若い頃から航空の世界に足を踏み入れました。18歳でイギリス空軍の最年少将校となり、22歳という若さでセントラル・フライング・スクール（CFS）の最年少操縦教官に任命されました。その後、予備役となり民間航空の発展に尽力し、1928年から1929年の間には南オーストラリア飛行クラブの教官を務め、その後はエア・ペニンシュラ航空やオーストラリア・ナショナル航空でパイロットとして活躍しました。

モリソンがパイロットとしての名声を確立したのは、数々の記録飛行によるものです。1931年7月から8月にかけて、彼はオーストラリアからイギリスまでを8日と19時間で飛行するという驚異的な記録を達成しました。さらに、1932年3月には、イギリスから南アフリカまでを4日17時間で飛行し、その卓越した操縦技術と不屈の精神を示しました。

1932年、モリソンは運命的な出会いを果たします。それは、同じく有名な女性パイロットであるエミー・ジョンソンとの出会いでした。出会ってからわずか8時間後、モリソンはジョンソンにプロポーズし、その年の7月に結婚しました。同年8月18日には、アイルランドのダブリンからカナダのペンフィールドまでの大西洋単独横断飛行を成功させました。さらに1933年には、イギリスからアフリカを経由してブラジルまでの南大西洋単独横断飛行を3日と13時間で達成しました。

しかし、モリソンの飛行人生は常に順風満帆だったわけではありません。1933年7月22日、モリソン夫妻は世界一周飛行を試みましたが、アメリカのコネチカット州に着陸する際に事故を起こし、夫妻ともに負傷。世界一周飛行は達成できませんでした。1934年10月には、イギリスからオーストラリアまでの航空レース「マックロバートソン・エアレース」に夫妻で参加しましたが、彼らの乗機であるデ・ハビランド DH.88 コメット「ブラックマジック号」はバグダッドまでレースをリードしたものの、アラーハーバードで航空用ではない燃料を使用したためにエンジンを破損し、リタイアせざるを得ませんでした。

1938年、モリソン夫妻は離婚に至ります。モリソンの飲酒癖などが原因とされています。第二次世界大戦中は、モリソンは航空輸送予備部隊（ATA）で働き、エミー・ジョンソンは1941年に航空機の輸送中に事故死しました。モリソンも副操縦士としてアンソンで飛行中にドイツ空軍の戦闘機に襲われましたが、乗機は被弾したものの乗員に怪我はありませんでした。しかし、着陸後モリソンは「紅茶がどこで飲めるか」ということしか関心がなかったと伝えられており、彼の性格の一端を垣間見ることができます。

戦後、モリソンはロンドンで暮らしましたが、1953年に飲酒癖が問題となり、パイロットライセンスを取り消されてしまいます。そして1959年、彼はその波乱に満ちた人生に幕を閉じました。

ジム・モリソンは、その大胆な記録飛行と波乱万丈な人生で、人々に強烈な印象を与えたパイロットでした。彼の名前は、航空史に永遠に刻まれることでしょう。

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