ジェームズ・ブルック

ジェームズ・ブルック：サラワク王国の白きラージャ

ジェームズ・ブルック（Sir James Brooke, 1803年4月29日 - 1868年6月11日）は、イギリスの探検家であり、ボルネオ島北部に存在したサラワク王国の初代ラージャ（藩王）（在位1841年 - 1868年）です。彼は、イギリス帝国主義を体現する人物として知られています。

生い立ちと初期の経歴

ブルックは、インドのベナレスでイギリス人裁判官の子として生まれました。幼少期は本国の学校で過ごしましたが、問題児として扱われ、最終的には放校処分となります。その後、イギリス東インド会社の軍隊に入隊し、中尉に昇進しますが、勤務態度は不真面目でした。1825年、第一次ビルマ戦争で負傷し帰国。療養中に東南アジアに関心を抱き、貿易に手を染めます。負傷の原因については諸説ありますが、真相は定かではありません。

サラワクへ

1835年に父親が亡くなると、ブルックは遺産を相続。この遺産で1838年に船を購入し、シンガポールに向けて出航します。シンガポール到着後、サラワクの統治者であったブルネイの王族への友好使節を依頼され、これを受け入れます。1839年にサラワクのクチンに到着すると、彼は歓迎され、原住民の反乱鎮圧を依頼されます。当初はこれを断りますが、1840年には依頼を受け入れ、対立する部族同士を競わせることで反乱を鎮圧しました。

ラージャへの道

1842年、ブルックはブルネイのスルタンのもとを訪れ、スルタンは彼を大英帝国の代理人と勘違いし、正式にラージャ（藩王）に任じ、「白人王」（ホワイト・ラージャ）の称号を与えました。その後、ブルックは海賊退治に乗り出し、1846年にはブルネイ王国の首都ブルネイを攻撃、王国による海賊援助を停止させ、ブルネイから独立したブルック王国を建国しました。1847年にはイギリスへ凱旋帰国し、ヴィクトリア女王と謁見。同年には在ボルネオイギリス公使、ラブアン総督に任命されました。1848年には、王立地理学会からボルネオ探険の功績により金メダルを授与され、バス勲章ナイト・コマンダーを授与されました。

晩年と死

しかし、ブルックが異国の地で王に登り詰めたことに対し、本国では疑念の声が上がります。1847年の原住民との海戦で多くの死者が出たことから、先住民虐殺の疑いをかけられ、非難を浴びるようになりました。シンガポールの審問会への出席を強いられ、1854年に無罪判決が出たものの、イメージは大きく損なわれました。1851年には中国人反乱が発生、1856年にはラブアン総督を辞任。ストレスと天然痘により衰弱したブルックは、1858年に帰国し、ダートムーアに隠居しました。その後もサラワクの動向には気を配り、2度ほど現地に戻っています。1866年に発作で倒れ、甥のチャールズ・ブルックを後継者に指名。1868年に死去しました。

人物

ブルックは同性愛者であったと言われており、国王時代にはバデゥルディーンという現地領主の兄弟に深く惹かれ、その心情を日記に綴っています。しかし、バデゥルディーンはサラワク王国の財政不安から発生した中国人反乱で死亡しました。

ジェームズ・ブルックの生涯は、冒険とロマンス、そして植民地支配の複雑さを体現しています。

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