ジェームズ・ランボー
ジェームズ・ランボー（James Rumbaugh、1947年8月22日 - ）は、アメリカ合衆国のソフトウェア技術者であり、オブジェクト指向ソフトウェア工学の分野で多大な貢献をしました。
1947年にペンシルベニア州ベスレヘムで生まれたランボーは、マサチューセッツ工科大学（MIT）で物理学の学士号を取得し、その後カリフォルニア工科大学（CalTech）で天文学の修士号を取得しました。さらにMITでコンピュータ科学の博士号を取得しています。
25年以上にわたり、ゼネラル・エレクトリック社（GE）の研究開発センターに勤務した後、1994年にラショナルソフトウェアに移籍しました。ラショナルソフトウェアは、グラディ・ブーチが在籍していた企業です。2003年にラショナルソフトウェアがIBMに買収された後も、IBMラショナル部門に上席技術者として在籍していましたが、2006年にIBMを退職しました。
ジェームズ・ランボーは、オブジェクト指向モデリングの分野で特に知られています。
データフロー指向コンピュータアーキテクチャの研究: 1975年の博士論文「A Parallel Asynchronous Computer Architecture For Data Flow Programs」で、データフロー指向のコンピュータアーキテクチャの基礎を論じ、コンピュータアーキテクチャの考案者の一人として評価されています。
GEでの貢献: GE勤務時代には、以下の開発に携わりました。
オブジェクト指向プログラミング言語DSMの開発
オブジェクト指向ソフトウェア開発方法論OMT（Object Modeling Technique）の開発
OMTモデル図を編集する最初のグラフィカルツール（ソフトウェア）の開発
著書『オブジェクト指向方法論OMT モデル化と設計』でOMTを解説
ランボーは、グラディ・ブーチ、イヴァー・ヤコブソンと共に以下の業績で知られています。
UML（Unified Modeling Language）の開発: ソフトウェア開発のためのモデリング言語UMLの初期版開発に大きく貢献しました。
Unified Process（UP）の開発: ソフトウェア開発手法であるUnified Processの開発に携わりました。
ランボーを含む3人は「スリーアミーゴス」として知られています。1994年にGEからラショナルソフトウェアに移籍し、1995年にはラショナルソフトウェアがイヴァー・ヤコブソンのObjectory ABを買収しました。ラショナルソフトウェアでは、ランボー、ブーチ、ヤコブソンがそれぞれ提唱していたオブジェクト指向ソフトウェア開発方法論を統合する作業に取り組みました。
当時、ランボーはOMT、ブーチはBooch法、ヤコブソンはOOSEという独自の開発手法とモデル図の記法を規定していましたが、ラショナルソフトウェアではモデル図の記法統一と開発手法の統一を分割して作業する方針を採りました。
モデル図の記法はUMLとして統一され、OMG（Object Management Group）のもとでラショナルソフトウェアが他の企業と共同で開発を進め、1997年にUML 1.1として標準化されました。OMTのモデル図の概念と記法の多くがUMLに引き継がれています。ランボーは、UML 2.0の標準化にも参加し、重要な役割を果たしました。
開発手法は、Booch法とOOSEとともにUnified Process（UP）に統合されました。UMLの策定とUnified Processの開発において、ランボー、ブーチ、ヤコブソンは中心的な役割を果たしました。Unified Processを基にラショナル統一プロセス（RUP）が開発され、RUPを含む多くのソフトウェア開発手法でモデリング言語としてUMLが採用されています。UMLは、現在情報技術分野で広く普及しています。
OMTのモデル図の概念と記法は、UMLに多く引き継がれています。OMTは、1990年頃にジェームズ・ランボー、マイケル・ブラハ、ウィリアム・プレメラニ、フレデリック・エディ、ウィリアム・ローレンセンらによって開発されたオブジェクト指向ソフトウェア開発方法論です。
オブジェクトモデル図: システムの静的な構造を記述するオブジェクトモデル図は、UMLのクラス図に類似しています。
状態図: システムの動的な側面を記述する状態図は、デヴィッド・ハレルの状態遷移図を採用しており、UMLの状態機械図（状態遷移図）に類似しています。
データフロー図: システムの機能を記述するデータフロー図には、伝統的なデータフロー図を採用しています。UMLのアクティビティ図はデータフロー図とは異なるものの、データフロー図と同等以上の記述能力を持ちます。
ジェームズ・ランボーは、以下の書籍の著者または共著者として名を連ねています。
A Parallel Asynchronous Computer Architecture For Data Flow Programs, MIT-LCS-TR-150, 1975 (博士論文)
Object-Oriented Modeling and Design, Prentice Hall, 1990
オブジェクト指向方法論OMT モデル化と設計, トッパン, 1992
OMT Insights: Perspectives on Modeling from the Journal of Object-Oriented Programming, Cambridge University Press, 1996
UMLユーザーガイド, ピアソンエデュケーション, 1999
The Unified Modeling Language User Guide (2nd Edition), Addison-Wesley Professional, 2005
UMLによる統一ソフトウェア開発プロセス オブジェクト指向開発方法論, 翔泳社, 2000
The Unified Software Development Process, Addison-Wesley Professional, 1999
UMLリファレンスマニュアル, ピアソンエデュケーション, 2002
The Unified Modeling Language Reference Manual (2nd Edition), Addison-Wesley Professional, 2004
Object-oriented Modeling And Design With Uml (2nd Edition), Prentice Hall, 2004
Rumbaugh特集 - オージス総研 オブジェクトの広場
バイオグラフィ - InformIT
ジェームズ・ランボーは、オブジェクト指向ソフトウェア工学において重要な役割を果たし、その業績は今日のソフトウェア開発に大きな影響を与えています。
経歴
1947年にペンシルベニア州ベスレヘムで生まれたランボーは、マサチューセッツ工科大学（MIT）で物理学の学士号を取得し、その後カリフォルニア工科大学（CalTech）で天文学の修士号を取得しました。さらにMITでコンピュータ科学の博士号を取得しています。
25年以上にわたり、ゼネラル・エレクトリック社（GE）の研究開発センターに勤務した後、1994年にラショナルソフトウェアに移籍しました。ラショナルソフトウェアは、グラディ・ブーチが在籍していた企業です。2003年にラショナルソフトウェアがIBMに買収された後も、IBMラショナル部門に上席技術者として在籍していましたが、2006年にIBMを退職しました。
業績
ジェームズ・ランボーは、オブジェクト指向モデリングの分野で特に知られています。
データフロー指向コンピュータアーキテクチャの研究: 1975年の博士論文「A Parallel Asynchronous Computer Architecture For Data Flow Programs」で、データフロー指向のコンピュータアーキテクチャの基礎を論じ、コンピュータアーキテクチャの考案者の一人として評価されています。
GEでの貢献: GE勤務時代には、以下の開発に携わりました。
オブジェクト指向プログラミング言語DSMの開発
オブジェクト指向ソフトウェア開発方法論OMT（Object Modeling Technique）の開発
OMTモデル図を編集する最初のグラフィカルツール（ソフトウェア）の開発
著書『オブジェクト指向方法論OMT モデル化と設計』でOMTを解説
UMLとラショナル統一プロセス
ランボーは、グラディ・ブーチ、イヴァー・ヤコブソンと共に以下の業績で知られています。
UML（Unified Modeling Language）の開発: ソフトウェア開発のためのモデリング言語UMLの初期版開発に大きく貢献しました。
Unified Process（UP）の開発: ソフトウェア開発手法であるUnified Processの開発に携わりました。
ランボーを含む3人は「スリーアミーゴス」として知られています。1994年にGEからラショナルソフトウェアに移籍し、1995年にはラショナルソフトウェアがイヴァー・ヤコブソンのObjectory ABを買収しました。ラショナルソフトウェアでは、ランボー、ブーチ、ヤコブソンがそれぞれ提唱していたオブジェクト指向ソフトウェア開発方法論を統合する作業に取り組みました。
当時、ランボーはOMT、ブーチはBooch法、ヤコブソンはOOSEという独自の開発手法とモデル図の記法を規定していましたが、ラショナルソフトウェアではモデル図の記法統一と開発手法の統一を分割して作業する方針を採りました。
モデル図の記法はUMLとして統一され、OMG（Object Management Group）のもとでラショナルソフトウェアが他の企業と共同で開発を進め、1997年にUML 1.1として標準化されました。OMTのモデル図の概念と記法の多くがUMLに引き継がれています。ランボーは、UML 2.0の標準化にも参加し、重要な役割を果たしました。
開発手法は、Booch法とOOSEとともにUnified Process（UP）に統合されました。UMLの策定とUnified Processの開発において、ランボー、ブーチ、ヤコブソンは中心的な役割を果たしました。Unified Processを基にラショナル統一プロセス（RUP）が開発され、RUPを含む多くのソフトウェア開発手法でモデリング言語としてUMLが採用されています。UMLは、現在情報技術分野で広く普及しています。
OMTとUML
OMTのモデル図の概念と記法は、UMLに多く引き継がれています。OMTは、1990年頃にジェームズ・ランボー、マイケル・ブラハ、ウィリアム・プレメラニ、フレデリック・エディ、ウィリアム・ローレンセンらによって開発されたオブジェクト指向ソフトウェア開発方法論です。
オブジェクトモデル図: システムの静的な構造を記述するオブジェクトモデル図は、UMLのクラス図に類似しています。
状態図: システムの動的な側面を記述する状態図は、デヴィッド・ハレルの状態遷移図を採用しており、UMLの状態機械図（状態遷移図）に類似しています。
データフロー図: システムの機能を記述するデータフロー図には、伝統的なデータフロー図を採用しています。UMLのアクティビティ図はデータフロー図とは異なるものの、データフロー図と同等以上の記述能力を持ちます。
著書
ジェームズ・ランボーは、以下の書籍の著者または共著者として名を連ねています。
A Parallel Asynchronous Computer Architecture For Data Flow Programs, MIT-LCS-TR-150, 1975 (博士論文)
Object-Oriented Modeling and Design, Prentice Hall, 1990
オブジェクト指向方法論OMT モデル化と設計, トッパン, 1992
OMT Insights: Perspectives on Modeling from the Journal of Object-Oriented Programming, Cambridge University Press, 1996
UMLユーザーガイド, ピアソンエデュケーション, 1999
The Unified Modeling Language User Guide (2nd Edition), Addison-Wesley Professional, 2005
UMLによる統一ソフトウェア開発プロセス オブジェクト指向開発方法論, 翔泳社, 2000
The Unified Software Development Process, Addison-Wesley Professional, 1999
UMLリファレンスマニュアル, ピアソンエデュケーション, 2002
The Unified Modeling Language Reference Manual (2nd Edition), Addison-Wesley Professional, 2004
Object-oriented Modeling And Design With Uml (2nd Edition), Prentice Hall, 2004
外部リンク
Rumbaugh特集 - オージス総研 オブジェクトの広場
バイオグラフィ - InformIT
ジェームズ・ランボーは、オブジェクト指向ソフトウェア工学において重要な役割を果たし、その業績は今日のソフトウェア開発に大きな影響を与えています。
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