ジェームズ・R・ワッソン

ジェームズ・R・ワッソン：日本の近代測量に貢献したアメリカ人技師

ジェームズ・R・ワッソン（James Robert Wasson、1847年1月11日 - 1923年2月17日）は、明治時代にお雇い外国人として来日し、日本の近代化に大きく貢献したアメリカ合衆国の測量技師です。彼は、北海道を中心とした地質調査や地図作成、教育活動を通じて、日本の発展に尽力しました。台湾出兵での功績が認められ、1875年には勲四等旭日小綬章を受章しています。

生涯と業績

ワッソンはオハイオ州で生まれ、ウェストポイントの陸軍士官学校を卒業しました。同級生には、第18代大統領ユリシーズ・グラントの息子であるフレデリック・デント・グラントがいました。開拓使の招聘を受け来日。開拓使仮学校（後の北海道大学）で数学と英語の講師を務めた後、ホーレス・ケプロンの助言に基づく計画の一環として、1873年にA・G・ワーフィールドの後任として開拓使測量長に就任しました。

ワッソンは、勇払地方を中心に北海道各地で三角測量を用いた地質調査を、アメリカ海軍大尉のモルレー・S・デー、荒井郁之助、福士成豊らと共同で行いました。この調査によって、道内における地質測量の向上が図られました。調査結果は「北海道石狩川圖」としてまとめられ、ワッソンの帰国後には、更なる測量を加えて1875年12月に「北海道実測図」が刊行されました。これらの測量は、日本における本格的な三角測量による地図作成の先駆けとなりました。また、この測量は「札幌本道」の建設にも関連しています。

その後、ワッソンは陸軍省に雇われ、1877年（明治10年）に帰国するまで東京開成学校（現在の東京大学）で土木工学の教鞭を執りました。「高等数学」を担当し、「微分」の教科書としてAlbert E. Churchの”Elements of the Differential and Integral Calculus. Revised Edition, Containing the Elements of the Calculus of Variations”を使用しました。彼の後任は、ウィンフィールド・スコット・チャプリンが務めました。

ワッソンは1923年、アイオワ州のマーシャルタウンにあるIowa Soldiers’ Home（現Iowa Veterans Home）で生涯を閉じました。

日本の三角測量の歴史におけるワッソンの貢献

ワッソンの行った測量は、日本の近代測量技術の基礎を築いたと言えます。彼の指導のもと、正確な地図が作成され、国土の開発やインフラ整備に大きく貢献しました。また、東京大学での教育活動を通じて、多くの優秀な技術者を育成し、日本の近代化を支えました。

彼の功績は、日本の測量史において特筆すべきものであり、彼の名は、日本の近代化に貢献した外国人技術者として、永く記憶されるでしょう。

関連情報

日本の三角測量の歴史
北海道指定史跡 開拓使三角測量勇払基点 - 苫小牧市 公式サイト
レファレンス共同データベース - James Robert Wassonのレファレンス（国立国会図書館）
Meiji Portraits（明治人物 お雇い外国人）

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