ジオタギング

ジオタギングとは

ジオタギング（Geotagging）とは、写真、動画、ウェブサイト、SMSメッセージなどの様々なメディアに、地理的な位置情報を付加するプロセスです。この情報により、ユーザーは場所に基づいてコンテンツを検索したり、逆に特定の場所に関連するメディアを発見したりすることが可能になります。ジオタギングは、緯度経度だけでなく、高度、方位、精度データ、場所名なども付加できます。

ジオタギングの活用例

写真検索: 特定の場所で撮影された写真を探す際に、緯度経度を入力することで、その周辺で撮影された写真を見つけられます。
情報サービス: 場所に基づいたニュースやウェブサイト、リソースを検索できます。
場所の共有: ユーザーが指定した場所を伝えたり、逆に特定の場所に関連するメディアを表示できます。

関連用語であるジオコーディングは、住所などの非座標ベースの情報を地理座標に変換するプロセスであり、ジオタギングと組み合わせて利用されることがあります。

ジオタギングの手法

ジオタギングに使用される位置データは、主に地球上の位置を示す[緯度]]経度座標系が用いられます。これは、赤道を基準に西経180度から東経180度、北緯90度から南緯90度で表されます。[[グローバル・ポジショニング・システム]や全地球航法衛星システム(GNSS)が使用され、より正確な位置情報を提供します。

ジオタグ写真の作成方法

ジオタグ写真を作成するには、以下の2つの方法があります。

1. 撮影時に位置情報を記録する: GPS/GNSS内蔵カメラや、デジタルカメラとGPS/GNSSデバイスを組み合わせて使用します。スマートフォンには、GPS/GNSSチップが搭載されていることが多く、自動で位置情報を付加できます。
2. 撮影後に位置情報を付加する: 撮影した写真に、地図上で位置を「添付」します。フォトマッピングソフトウェアを使用して、位置情報を追加できます。

GPSに加えて、補助GPS（A-GPS）を使用することで、携帯電話基地局の電波が届く範囲内であれば、より早く位置情報を取得できます。A-GPSは、建物内でも位置情報が取得できる場合があります。ただし、GPSとA-GPSの両方を使用する場合、バッテリー消費量が増えることに注意が必要です。

電子ファイル形式におけるジオタギング標準

JPEG写真

JPEG形式で保存された写真のジオタグ情報は、主にExif (Exchangeable image file format) またはXMP (Extensible Metadata Platform)形式のメタデータに埋め込まれています。この情報は、写真には直接表示されませんが、専用のソフトウェアやデジタルカメラで読み書きできます。緯度や経度は、十進数表記で保存されます。

以下は、ジオタグ情報の例です。


GPS Latitude : 57 deg 38' 56.83" N
GPS Longitude : 10 deg 24' 26.79" E
GPS Position : 57 deg 38' 56.83" N, 10 deg 24' 26.79" E


または、十進数表記では以下のようになります。


GPS Latitude : 57.64911
GPS Longitude : 10.40744
GPS Position : 57.64911 10.40744


Exifメタデータでは、座標はGPS sub-IFDの一連の有理数で表現されます。

音声・映像ファイル

音声・映像ファイルも、メタデータ、オーディオエンコード、オーバーレイ、コンパニオンファイルなどを利用してジオタギングできます。

メタデータ: エンコードされたファイルに地理空間データを記録します。
オーディオエンコード: 音声データに地理座標を変換します。
オーバーレイ: 記録されたビデオにテキストで座標を表示します。
コンパニオンファイル: .KMLや.GPXなどの形式で、音声・映像ファイルに対応した位置情報データを保存します。

Vorbis commentメタデータ形式を使用する場合、GEO_LOCATIONフィールドを使用して、以下のように座標を記述できます。


GEO_LOCATION=(十進数の緯度);(十進数の経度);([任意入力]標高のメートル単位)
例: GEO_LOCATION=35.1592;-98.4422;410

SMSメッセージ

GeoSMS標準では、SMSメッセージに'geo' URIを埋め込むことで、位置情報を伝えることができます。例えば、以下のように使用します。


私はパブに居ます geo:-37.801631,144.980294;u=16

DNSエントリー

RFC 1876で定義されているLOCレコードを使用すると、Domain Name Systemに位置情報を記述できます。LOCレコードには、緯度、経度、高度、精度、実体のサイズなどの情報が含まれますが、主にIPアドレスの物理的な位置を特定するためのジオロケーションサービスで使用されます。

HTMLページ

ICBMタグやGeoURL標準を利用して、HTMLページにジオタグを埋め込むことができます。例えば、以下のように記述します。

html
ICBM: 50.167958, -97.133185 >

RDFフィード

RDFタグを利用して、位置情報を提供できます。

マイクロフォーマット

Geoマイクロフォーマットを利用すると、HTMLページに座標をマークアップできます。

html

50.167958;
-97.133185



これらの形式は、月や火星など地球以外の場所にも拡張することが提案されています。

タグベースのシステムにおけるジオタギング

産業標準がない場合でも、タグを利用して、情報リソースに地理的識別メタデータを追加する方法があります。例えば、Flickrやdel.icio.usなどのサイトでは、ユーザーがマシンタグと呼ばれるものを使ってメタデータを追加できます。


geotagged
geo:lat=57.64911
geo:lon=10.40744


緯度と経度は、WGS84測地系に基づいた十進数表記の度で表されます。また、Geohashを使って、位置情報を簡潔に表現することもできます。


geo:hash=u4pruydqqvj


FlickrFlyでは、視野角や範囲を指定するタグを追加することもできます。


ge:head=225.00
ge:tilt=45.00
ge:range=560.00


これらのタグは、カメラの位置と向きを表します。また、ソーシャルメディアでジオタグを統合したり、テキストを読みやすくするために、meetagという概念も提案されています。meetagはアンダースコアに続く言葉やフレーズで位置情報を表現します。

ジオブロギング

ジオブロギングは、ブログのエントリーに地理的な位置情報を付加するものです。ジオタグ付きのブログや画像は、インタラクティブな地図上で検索できます。スマートフォンやモバイルブロギングの普及に伴い、ジオタグ付きブログの人気が高まっています。リアルタイムジオタギングを利用することで、写真や動画をすぐに共有することもできます。

ウィキペディア記事の地理検索アプリケーション

過去には、現在地に近いウィキペディアの記事を表示するアプリケーションが存在していました。また、地図上に記事を表示し、周辺の人々と交流するためのアプリケーションも開発されています。

ジオタギングの危険性

ジオタギングは便利な技術ですが、プライバシーやセキュリティ上のリスクも伴います。スマートフォンで撮影された写真に自動的にジオタグが付加されることに気づかず、写真をインターネットに公開してしまうことで、個人の位置情報が漏洩する可能性があります。また、犯罪者がジオタグ情報からターゲットの位置を特定する可能性も指摘されています。貴重な動植物の撮影場所が特定され、密猟を招く危険性もあります。

これらのリスクを避けるためには、写真を公開する前に、メタデータ除去ツールでジオタグを削除する必要があります。

軍事面においても、ジオタグの危険性が指摘されており、過去にはジオタグ情報が原因で攻撃を受けた事例も存在します。

関連項目

ジオタグ写真
ジオキャッシング
地理情報システム (GIS)
ジオリファレンス
GeoRSS
GeoURI
スープラネット
タギング
Toponym Resolution

関連文献

* Luo, Jiebo; Joshi, Dhiraj; Yu, Jie; Gallagher, Andrew. “Geotagging in multimedia and computer vision—a survey”. Multimedia Tools and Applications (Springer) 51 (1): 187–211. doi:10.1007/s11042-010-0623-y.

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