ジグムント1世 (ポーランド王)

ジグムント1世スタルィ (Zygmunt I Stary)

ジグムント1世スタルィは、1467年 1月1日に生まれ、1548年 4月1日に亡くなったポーランド王およびリトアニア大公です。彼の異称「スタルィ」は息子のジグムント2世アウグストとの区別のために付けられ、「老王」を意味します。彼の治世は1506年から1548年までとされ、ポーランドの歴史において特に重要な時期です。

生い立ちと即位

ジグムント1世はカジミェシュ4世とローマ王アルブレヒト2世の娘エリーザベトの子として生まれました。兄にあたるヤン1世、アレクサンデルの後、ポーランドの王位を受け継ぎました。彼は、最初にシロンスク地方のグウォグフ公国（1499年 - 1506年）、オパヴァ公国（1501年 - 1506年）の統治者としての経験を積み、1506年10月20日には、リトアニア大公に選ばれ、さらに同年12月8日にはポーランド王に即位しました。彼の戴冠式は翌年の1月24日にクラクフで行われました。

政治と軍事

ジグムント1世は、即位以来、国内の権力を強化するための努力を重ねました。1505年には、アレクサンデルの治世において採択された“ニヒル・ノヴィ”の特権により、国王が一方的に法律を制定できない状況が続きました。この制約はジグムント1世にとって大きな困難でしたが、彼は1527年に徴兵制度や官僚制度を確立することで国家の安定を図りました。1537年には、王権強化政策に反発した貴族たちが「鶏戦争」と呼ばれる反乱を起こしましたが、国王は改革の放棄を拒否しました。

対外的には、ジグムント1世は善隣関係の維持を重視しました。1525年には、ドイツ騎士団との戦争が終結し、騎士団総長アルブレヒトを臣従させて新たにプロイセン公国をポーランド王国の保護下に置くことに成功しました。さらに1526年には、マゾフシェ公国最後の統治者ヤヌシュ3世が亡くなったことで、公国を併合しました。東方の国境では、クリミア・ハン国との平和的共存を試みつつも、モスクワ大公国からの攻撃が続きました。また、1514年には重要な防衛拠点スモレンスクを奪われるなど、悩ましい情勢が続きました。

同盟と文化

1515年には神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世と同盟を結びましたが、彼の承認が必要な条件付きでの結婚がなされることとなり、これが後のハプスブルク家によるボヘミア及びハンガリー王位の承継に繋がりました。

文化面では、ジグムント1世はルネサンス文化の保護者として知られ、イタリアから多くの彫刻や絵画を取り入れました。彼の治世においては、名作を残した文学者や科学者が活躍し、ポーランドの文化が花開きました。ジグムント1世自身は慎重で温和な性格であり、多くの支持と尊敬を集めました。

家族

彼の最初の妻バルバラ・ザーポリャとの間には二人の娘が生まれました。

- ヤドヴィガ（1513年 - 1573年）: ブランデンブルク選帝侯ヨアヒム2世と結婚。
- アンナ（1515年 - 1520年）: 幼くして死去。

二人目の妻ボナ・スフォルツァとの間には、二人の息子と四人の娘を授かっています。

- イザベラ（1519年 - 1559年）: ハンガリー王サポヤイ・ヤーノシュと結婚。
- ジグムント・アウグスト（1520年 - 1572年）: ポーランド王及びリトアニア大公。
- ゾフィア（1522年 - 1575年）: ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯ハインリヒ2世と結婚。
- アンナ（1523年 - 1596年）: ポーランド女王、ステファン・バートリと結婚。
- カタジナ（1526年 - 1583年）: スウェーデン王ヨハン3世と結婚。
- ヴォイチェフ・オルブラフト（1527年）: 男性。

ジグムント1世の治世は、彼自身が文化の振興を図り、国を堅固に保ちながら、内外で様々な課題に取り組んだ実績から後に「ポーランドの黄金時代」と称される。彼の肖像は、現代の200ズウォティ札にも印刷されており、その重要性が今なお認識されています。

もう一度検索