ジグムント3世 (ポーランド王)

ジグムント3世（1566年 - 1632年）

ジグムント3世は、1566年6月20日に産声を上げ、1632年4月30日にその生涯を閉じたポーランド・リトアニア共和国の王であり、同時にスウェーデン王国の王でもありました。彼はポーランド王ステファン・バートリの崩御に伴い、1587年にシュラフタによる国王自由選挙で国王に選ばれました。彼の父はスウェーデン王ヨハン3世であり、母はポーランド王ジグムント1世の娘カタジナであり、これにより彼はヤギェウォ朝の血を引く存在となっていました。

政治的背景と二重の王冠の継承

ジグムントはポーランド王となる前に、リヴォニア戦争でスウェーデンと同盟を結んでおり、この政治的動きは両国がモスクワ大公国の進出を防ぐためのものでした。若くしてポーランドに預けられたジグムントは、イエズス会の手で教育を受け、熱心なカトリック教徒となりました。そのため、1592年にはスウェーデン王位を得るものの、プロテスタントが主流のスウェーデンでは次第に対立を生じることとなります。

スウェーデンとの対立

ジグムントは1594年に正式にスウェーデン王として戴冠しますが、スウェーデンのルター派信仰を受け入れる必要がありました。しかし、彼がポーランドに帰国すると1595年にはプロテスタント信仰を禁じる政策を取るなど、両国の関係はさらに悪化していきます。スウェーデンでは国王代理のカールが権力を握り、反体制派の粛清が進んでいきます。これに加え、スウェーデン国内での宗教的対立は頻発し、本格的な内戦へと発展し、最終的にプロテスタントが勝利を収めますが、ジグムントの権威は損なわれていきます。

ポーランドの政策

ポーランドでは、彼の治世下で1595年にカトリック信仰を推進し、ウクライナ東方カトリック教会を立ち上げるなど、宗教による影響が強くありました。また、1596年には首都をクラクフからワルシャワに移しましたが、ジグムント自身がワルシャワに居住を始めたのは1611年になってからです。国内でも反絶対主義の動きが見られ、特に1606年のゼブジドフスキの反乱は、彼の権限強化への動きに対する危機感を示しています。

スウェーデン王位の挑戦

1598年、ジグムントは叔父カールの反乱軍に挑みますが失敗。1599年にはスウェーデン王位を奪われ、彼の支持者たちは粛清されます。この結果、ヴァーサ家はスウェーデンとポーランドの王家に分かれ、彼の権威はさらに揺らいでいきました。1600年の時点では、カールがスウェーデン王として即位し、王権を回復しますが、ジグムントは以降も王位を求め続けました。

ロシアとの戦争

1600年にロシアにおける大動乱が起こると、ジグムントは積極的に介入し、特に偽ドミトリー1世の動きを利用しようとしました。しかし、彼の思惑はロシア貴族からの反発を招き、自らの計画を大きく削がれることとなりました。1610年にはモスクワを占領しますが、彼のカトリック化の意図が明らかになるにつれ、ロシア人からの反発に直面します。結果、1612年には敗北を喫し、翌年にはツァーリ戴冠を放棄することになります。

スウェーデン・ポーランド戦争とその後の展開

1621年から始まるスウェーデン・ポーランド戦争では、ジグムントは一時的に劣勢に立たされますが、ハプスブルク家との同盟や新たに台頭した将軍スタニスワフ・コニェツポルスキの活躍により、次第に形勢を逆転させます。最終的には、1629年にアルトマルクの和議を結び、スウェーデンに一定の譲歩を強いられることになります。

家族と私生活

ジグムント3世は1592年に内オーストリア大公カール2世の娘アンナと結婚し、5人の子女をもうけます。その後、1605年にはアンナの妹コンスタンツェと再婚し、さらに7人の子女を設けました。彼の私生活には愛妾との関係も存在し、多くの子供たちはその家庭内で育てられました。

結び

ジグムント3世は、その治世を通じて波乱に満ちた歴史の中で生き抜いた君主でした。宗教対立や内政の混乱、隣国との戦争、さらには自己の権威を確立しようとする試みが、彼の生涯に刻まれています。彼の死は、ポーランドとスウェーデンの関係に新たな局面を迎えさせるものでした。

もう一度検索