ジブラルタル湾

ジブラルタル湾について

ジブラルタル湾（Bay of Gibraltar）、またはアルヘシラス湾（Bahía de Algeciras）は、イベリア半島の最南端にある湾で、約10キロメートルの長さと8キロメートルの幅を持っています。全体の面積は約75平方キロメートルに及び、中央部は水深が約400メートルという深さを誇ります。この湾は、南側でジブラルタル海峡および地中海と接続しています。

この地は、周囲に広がる集落に囲まれており、具体的にはスペインのアルヘシラスやロス・バリオス、サン・ロケ、ラ・リネア、そしてイギリスのジブラルタルなどがあります。湾の東側半分はジブラルタルの領有権が主張されており、湾の入口にはエウローパ岬があり、そこにはエウローパ岬灯台があります。一方、湾の西側の入口はアルヘシラスに位置し、プンタ・カルネロ灯台があります。

経済的側面

観光業

ジブラルタル湾は、いくつかの種類のイルカ、特にマイルカ、ハンドウイルカ、スジイルカの繁殖地として知られています。また、様々な種の移住性のクジラも訪れるため、アルヘシラスやジブラルタルからのホエールウォッチングツアーは非常に人気があります。観光客は、これらの動物を間近で見るチャンスを求めて訪れます。

さらに、スクーバダイビングもこの地域の重要な観光資源の一つです。湾内には、第二次世界大戦中に墜落した航空機や戦車の残骸、さらには古代ローマやフェニキア時代の船の錨といった歴史的な遺物が数多く存在しています。

工業

ジブラルタル湾周辺は、工業活動も盛んで、特にサン・ロケには大規模な石油化学工場が立地しています。この地域にはCEPSA製油所やAcerinoxのステンレス鋼製造所などがあり、製油業も重要な経済の一部です。湾の海域は、多くの船舶、特に石油タンカーや貨物船によって頻繁に利用されており、石油燃料の補給業務も盛んに行われています。

歴史

ジブラルタル湾周辺には、数千年にわたり人々が住んでいました。歴史的には、3000年以上前から商業用船がこの湾を利用していたことが知られています。フェニキア人の集落がこの地域に存在していたとされ、後にはローマ帝国によってポルトゥス・アルバ（ポルトガルの白港）という町も築かれました。中世から近代にかけては、ムーア人やスペイン人が海岸沿いに集落を作り、ジブラルタルは戦略的な港として要塞化されました。1704年にはイングランドによって陥落し、以後この地域は重要な軍事的拠点となりました。

また、ジブラルタル湾は数世紀にわたって、多くの海上戦闘の舞台となってきました。特に、1607年のジブラルタルの海戦や1801年のアルヘシラスの戦いなどが知られています。第二次世界大戦中には、イタリア軍が港に停泊中のイギリス艦隊を攻撃するために、人間魚雷が使用されるなどのエピソードも存在します。

しかし近年では、スペインとジブラルタルの間で領有権を巡る争いが続いています。スペインはジブラルタル港周辺のイギリスの主権を認めず、対してイギリスは湾の中央部の主権を主張しています。この問題は国連海洋法条約に基づいており、両者は条約に署名することで問題を解決する努力をしています。近年、この地域では漁業者の不法操業が問題となり、緊張が高まることもありましたが、現在は大部分の問題が沈静化しています。

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