ジャウンプル・スルターン朝

ジャウンプル・スルターン朝

ジャウンプル・スルターン朝は、14世紀末から15世紀にかけて、北インドのアワド地方を支配したイスラーム王朝です。この王朝は、一般にジャウンプル王国やシャルキー朝とも呼ばれています。

建国と初期

14世紀末、北インドを支配していたトゥグルク朝は、王族間の内紛により衰退の一途を辿っていました。そのような状況下で、トゥグルク朝のマフムード・シャーの宦官であり宰相でもあったホージャ・ジャハーン（マリク・サルワル）は、1394年にジャウンプルで独立を宣言し、「スルターン・アッシャルキー」（東方の王）を称しました。これがジャウンプル・スルターン朝の始まりです。

1398年、トゥグルク朝はティムールの侵略により壊滅的な打撃を受けました。これに乗じて、ホージャ・ジャハーンの養子であるシャムスッディーン・ムバーラク・シャーは、トゥグルク朝からの独立をさらに明確にしました。

最盛期

ムバーラク・シャーの治世は短期間で終わりましたが、その後を継いだ弟のシャムスッディーン・イブラーヒーム・シャーの時代に、王朝は全盛期を迎えました。イブラーヒーム・シャーは38年もの長きにわたり統治を行い、その間にジャウンプルはインドにおける学問と文化の中心都市として大きく発展しました。この時期には、壮大な入口を持つ、地域独特のモスクが数多く建設されました。トゥグルク朝の崩壊後、デリー・スルターン朝が衰退したことで、文化人や知識人が東へと避難し、ジャウンプルに多くの人材が集まったことも、この繁栄を後押ししました。この繁栄ぶりから、ジャウンプルは「東のシーラーズ」とまで称されるようになりました。

衰退と滅亡

イブラーヒーム・シャーの治世が終わると、王朝の繁栄には陰りが見え始めました。イブラーヒーム・シャーの後を継いだナーシルッディーン・マフムード・シャーは、1452年以降、サイイド朝の崩壊後に成立したローディー朝と27年にも及ぶ長きにわたる戦争を繰り広げました。この戦争は、マフムード・シャーがサイイド朝の王女を妻としていたこと、そしてローディー朝が勢力を拡大する前に叩いておこうという思惑があったことが理由とされています。

1457年にマフムード・シャーが亡くなると、王朝は戦争の最中に内紛に見舞われました。息子のムハンマド・シャーが王位を継承しましたが、弟のフサイン・シャーが反乱を起こし、ムハンマド・シャーはカナウジで殺害されました。

1479年、フサイン・シャーはローディー朝のバフルール・ローディーに敗れ、ベンガル・スルターン朝へと逃れました。これにより、ジャウンプル・スルターン朝は滅亡しました。

歴代君主

ホージャ・ジャハーン
シャムスッディーン・ムバーラク・シャー
シャムスッディーン・イブラーヒーム・シャー
ナーシルッディーン・マフムード・シャー
ムハンマド・シャー
フサイン・シャー

参考文献

* フランシス・ロビンソン 著、月森左知 訳『ムガル皇帝歴代誌 インド、イラン、中央アジアのイスラーム諸王国の興亡（1206年 - 1925年）』創元社、2009年。

もう一度検索