ジャガーバックス

ジャガーバックス

ジャガーバックスは、1970年代から80年代にかけて立風書房より刊行された、子供たちを対象としたサブカルチャー系の書籍シリーズです。具体的には、1972年から1983年にかけて、ハードカバーのB6判というしっかりした装丁で展開されました。

この叢書は、当時の児童書市場において、学研のジュニアチャンピオンコースや講談社のドラゴンブックスといった人気レーベルと並び称される存在でした。特に、妖怪や怪奇現象といったオカルト的なテーマは子供たちの間で強い関心を集め、ジャガーバックスもこうしたジャンルで大きな支持を得ましたが、その内容はそれだけにとどまりませんでした。

刊行リストを見ると、ジャガーバックスがいかに多様な好奇心に応えようとしていたかがわかります。

• - 怪奇・オカルト：『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』、『いちばんくわしい世界妖怪図鑑』、『恐怖とのろい 魔術妖術大図鑑』、『いちばんくわしい地獄大図鑑』、『いちばんくわしい幽霊大百科』、『怪奇! 日本ミステリー図鑑』など、ジャガーバックスの代名詞ともいえるジャンルです。
• - SF・超常現象：『脅威! 世界の超能力者』、『地球遺跡 宇宙人のなぞ』、『てってい追跡推理 空飛ぶ円盤』、『SF宇宙戦争大図鑑』、『SF宇宙怪物(ベム)図鑑』など、空想科学や未知への興味を刺激するテーマも多数扱われました。
• - 乗り物・兵器・軍事：『いちばんくわしい世界の飛行機』、『太平洋戦争 日本の飛行機』、『いちばんくわしい世界拳銃図鑑』、『決戦!! 日本連合艦隊』、『いちばんくわしいスーパーカー』、『マシーン＆レーシングF1グランプリ』、『いちばんくわしい陸上航空海上自衛隊図鑑』、『いちばんくわしい電撃 ドイツ空軍』、『太平洋戦争 日本の軍艦』、『電撃 潜水艦ドイツUボート艦隊』、『壮烈 ドイツ機甲軍団』、『ベスト66 世界の名戦闘機』、『特急列車スーパーメカ ブルートレイン』、『いちばんくわしい不滅! ゼロ戦大百科』、『いちばんくわしい戦車大図鑑』、『いちばんくわしい世界の最新兵器』、『太平洋戦争 日本の特攻兵器』、『スーパーマシンコクピット図鑑』、『いちばんくわしい栄光! ハヤブサ戦闘機』、『最後の連合艦隊 戦艦大和』、『強烈マシン ドイツ兵器大図鑑』、『動く要塞・スーパーメカ 世界の空母』、『第三次世界大戦 戦う自衛隊』、『自動車・飛行機・船 RCラジコン図解百科』、『壮烈! 山本五十六』など、当時の男の子たちの間で人気が高かったメカニックや軍事に関する詳細な解説書が多くラインナップされました。「いちばんくわしい」「大図鑑」「大百科」といったタイトルからも、その情報量の豊富さがうかがえます。
• - スポーツ・記録：『珍記録大記録 スポーツ日本一世界一』、『びっくり日本一世界一』、『びっくり知識 0から100』、『新びっくり日本一世界一 新記録・珍記録』など、驚きや発見を提供する記録集も人気でした。
• - 推理・事件：『SFクイズ 名探偵宇宙に挑戦』、『推理ゲーム 名探偵世界一周』、『完全犯罪をぶち破れ これが科学捜査だ』、『歴史探偵クイズ 江戸の怪盗 御用だ!』、『五十一人勢ぞろい 世界名探偵図鑑』、『恐怖! スパイ大作戦』など、謎解きや犯罪捜査をテーマにした書籍も刊行されました。
• - アニメ・ロボット：『勝て!! アニメロボット大百科』、『戦え!! アニメヒーロー大百科』など、当時の人気アニメやロボットを取り上げたものもありました。

このように、ジャガーバックスは子供たちが興味を持つであろう様々なテーマを網羅し、単なる読み物ではなく、図版を豊富に用いた「図鑑」や「百科」といった体裁で、子供たちの探求心を刺激しました。その内容は、時に大人顔負けの専門的な情報を含み、子供たちにとっては未知の世界への扉を開く存在でした。

当時の子供たちに強烈なインパクトを与えたこれらの書籍は、古書店などで取引される人気アイテムとなっています。そして時を経て、2015年からは復刊ドットコムの手により、『SF宇宙怪物(ベム)図鑑』や『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』など、一部の代表的なタイトルが復刻版として再び世に送り出され、かつての読者だけでなく、新しい世代の読者にもその魅力を伝えています。

ジャガーバックスは、同時代のジュニアチャンピオンコースやドラゴンブックス、ユニコンブックスといったシリーズと共に、1970年代から80年代にかけての日本の児童向けサブカルチャー出版を語る上で欠かせない、記憶に残る叢書です。

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