ジャガー・R4

ジャガーR4：2003年シーズンの挑戦

2003年、ジャガー・レーシングはF1世界選手権にR4マシンで挑みました。デザイナーはロバート・テイラーです。前年までのトラブルを乗り越え、チームは再構築。ドライバーにはマーク・ウェバーとアントニオ・ピッツォニアを起用し、新たな体制でシーズンに臨みました。

開発：R3からの進化

R4は、前モデルR3をベースに、徹底的な見直しと改良が加えられました。開発の重点は、シャシーの強化と信頼性の向上に置かれ、プレシーズンテストで多くの検証が行われました。パワートレインにはコスワースCRエンジンを搭載。バンク角は72度から90度に拡大され、出力向上を目指しました。しかしながら、開発の遅れから、完成車での走行テストは限られており、信頼性に関する課題は残ったままシーズンに突入することになりました。

2003年シーズン：苦闘と光明

シーズン開幕当初、R4は信頼性不足に苦しみました。特にシャシーに起因する問題が顕在化し、マシントラブルが頻発しました。ブラジルGPでは、ウェバーが大きなクラッシュを起こすなど、厳しい状況が続きました。

ピッツォニアの成績が伸び悩んだことから、チームはスペインGP後に彼の交代を検討。マクラーレンのテストドライバー、アレクサンダー・ヴルツ獲得を目指しましたが、マクラーレンの反対により実現しませんでした。チームはピッツォニアに謝罪し、イギリスGPまで契約を継続。イギリスGPではピッツォニアがシーズンベストの走りを見せましたが、レース後、ジャスティン・ウィルソンが起用されることになりました。

一方、ウェバーは2度の予選3位を獲得するなど、活躍を見せました。7回の入賞を果たし、チームのポイント獲得に貢献しました。最終的に、ジャガーはコンストラクターズランキング7位、18ポイントを獲得してシーズンを終えました。

スペック

シャーシ

シャシー名：R4
材質：カーボンファイバー・モノコック
ギアボックス：7速セミオートマチック
クラッチ：APレーシング/ブレンボ
ブレーキ：APレーシング
ホイール：O・Zレーシング
タイヤ：ミシュラン

エンジン

エンジン：コスワースCR-5 自然吸気
気筒数：V型10気筒
排気量：2,998 cc
スパークプラグ：チャンピオン
バッテリー：GS
* 燃料・潤滑油：カストロール

まとめ

ジャガーR4は、開発の遅れや信頼性問題を抱えながらも、ドライバーの力強い走りで、コンストラクターズランキング7位という結果を残しました。このシーズンは、チーム再建とマシンの開発という大きな課題に挑んだ、ジャガーにとって重要な1年となりました。R4の開発経験は、今後のチームの成長に繋がる貴重な財産となったと言えるでしょう。

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