ジャガー・XE

ジャガーXE：洗練と先進性を兼ね備えたDセグメントセダン

ジャガーXEは、イギリスの自動車メーカー、ジャガーが製造・販売するDセグメントセダンです。2014年、コードネーム「X760」として開発されたXEは、ロンドンでのワールドプレミア後、パリモーターショーで正式発表されました。ジャガーにとって、商業的に成功しなかったXタイプ以来となるDセグメント車でありながら、ジャガー・ランドローバーグループの完全自社開発として高い期待を背負って登場しました。

革新的なアルミニウムアーキテクチャ

XEの開発において特筆すべきは、コンセプトカー「C-X17」で先行発表されたアルミニウムアーキテクチャの採用です。これにより、ボディ全体の75％以上をアルミニウムで構成することで、高いねじれ剛性と軽量化を両立。XFと比較して20％もの剛性向上を実現し、安全性も大幅に向上させています。

多様なパワートレイン

エンジンラインナップは、3.0リッターV型6気筒スーパーチャージャー、2.0リッター直列4気筒ターボガソリンエンジン、そしてジャガーが独自開発したINGENIUM（インジニウム）2.0リッター直列4気筒ターボディーゼルエンジンの3種類。ガソリンエンジンは200PSと240PS、ディーゼルエンジンは163PSと180PSの2種類を用意し、幅広いユーザーニーズに対応します。

特にINGENIUMディーゼルエンジンは、軽量化と高効率化を追求した新世代エンジンです。DPFや尿素SCRシステムの採用により、欧州のEuro6はもちろん、日本の厳しい排出ガス規制もクリアしています。内部摩擦の低減とツイン・バランサーシャフトによる振動抑制で静粛性も向上、163PS仕様では75mpg（約26.5km/リットル）という優れた燃費を実現しています。

トランスミッションは、ZF製の8速ATを標準装備。ディーゼルエンジンのFRモデルでは6速MTも選択可能です。操作にはジャガー独自の「ジャガー シーケンシャルシフトTM」を採用しています。

走行性能の進化

発売当初はFR駆動のみでしたが、2016年にはFタイプAWDに搭載されているインテリジェント・ドライビング・ダイナミクス・ソフトウェアを採用したAWDモデルを追加。マルチプレート湿式クラッチとチェーン・ドライブによりフロントプロペラシャフトを駆動するシステムは、XFと共通で、F-PACEにも採用されています。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアはインテグラルリンク式を採用。これにより、高いハンドリング性能と乗り心地を実現しています。

日本市場における展開

日本市場では2015年6月より受注を開始。ガソリンエンジン車に加え、ジャガーブランド初となるディーゼルエンジン車（180PS仕様）も導入されました。2019年には2020年モデルを発表。エクステリアデザインの変更、ダイヤル式からレバー式へのシフトセレクター変更、インフォテインメントシステム「Touch Pro Duo」の採用、そしてジャガー/ランドローバー初となるデジタルルームミラーの装備など、さらなる進化を遂げました。エンジンは、ガソリン、ディーゼルともにインジニウムエンジンに統一されました。

高性能モデル：SV プロジェクト8

2017年には、JLRのスペシャルビークルオペレーション（SVO）が開発した高性能バージョン「SV プロジェクト8」を発表。カーボンファイバー製のボディパネルや5リッターV8スーパーチャージャーエンジン（最高出力600馬力）など、究極の走りを追求した限定300台のモデルです。

ジャガーXEは、先進技術とスポーティな走りを両立した、魅力的なDセグメントセダンと言えるでしょう。継続的な改良と進化により、今後もその存在感を示し続けるに違いありません。

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