ジャスミン米

ジャスミン米（ジャスミンまい）

ジャスミン米、またはジャスミンライスは、タイ語で「カオ・ホーム・マリ」と呼ばれる長粒種の香り米です。その名の通り、ジャスミンの花のような芳香が特徴で、世界中で広く愛されています。特に東南アジアでは日常的に食されており、その食感と風味は様々な料理に彩りを添えます。

概要

香りの特徴

ジャスミン米の独特の香りは、パンダンやポップコーンを連想させるもので、イネが自然に生成する芳香化合物に由来します。特に2-アセチル-1-ピロリンという化合物がその香りの主成分です。しかし、この芳香化合物は時間とともに失われやすいため、東南アジアでは新米が好まれる傾向にあります。

品種と特徴

ジャスミン米は、イネ（Oryza sativa）の一品種であり、その白い色から「ジャスミン」と名付けられました。主にタイ、カンボジア、ラオス、南ベトナムで栽培されています。調理すると、しっとりとした柔らかい食感で、わずかな甘みがあり、粒同士がくっつきやすい性質を持ちます。アミロペクチン含有量が少ないため、もち米ほど粘り気は強くありません。アメリカ産の長粒米と比較すると、約3分の1程度の粘り気です。

収穫と加工

収穫されたジャスミン米は、長い茎を切り、脱穀されます。その後、籾殻がついた状態で保管され、外皮を取り除いて玄米にするか、精米して白米にします。正式な品種名はKhao Dawk Mali 105（KDML105）であり、2004年には約940万トンの収穫量がありました。

歴史

1945年、チョンブリー県の農家で優れた香り米品種が発見され、チャチューンサオ県で199本の穂が純系選択のために収集されました。1959年には、白色の純系品種であるドークマリ4-2-105（カオドークマリ105）が品種登録されました。

種類

タイ・ジャスミン米とカンボジア・ジャスミン米

タイとカンボジアのジャスミン米は、国境を接する地域で主に栽培され、多くの共通点を持ちます。カンボジアでは、phka rumduol、phka romeat、phka rumdengといった品種が栽培されています。DNAフィンガープリント分析によると、これらの品種はタイのジャスミン米と遺伝的に類似しており、特にphka romeatはタイのジャスミン米とほぼ同一であることが示されました。

その他の地域

ラオスや南ベトナムでもジャスミン米は栽培されていますが、主要な品種ではありません。ラオスではもち米、ベトナムでは通常のうるち米が主に栽培されています。タイ産のジャスミン米は細長い形状で、白米と玄米があります。

白米と玄米

白米

白米は、調理するとわずかに粘り気があり、2-アセチル-1-ピロリンという芳香成分による独特の香りがあります。

玄米

玄米は、糠の層を保持しており、白米よりも栄養価が高いです。特にγ-オリザノール類を含み、コレステロールを下げる効果が期待されています。また、ビタミンA、B、β-カロテンなどのビタミン類や抗酸化物質も豊富です。

グリセミック指数

ジャスミン米のグリセミック指数は68〜80とやや高めです。しかし、他の食品と組み合わせて食べることで、血糖値の急上昇を抑えることができます。バスマティ米などの他の米と比較すると、ジャスミン米はやや高い数値を示しますが、食事全体のバランスを考慮することが重要です。

料理での利用

ジャスミン米は、その香りと食感から、様々な料理に利用されます。特に、炒め物や煮込み料理、スープとの相性が抜群です。ただし、加熱しすぎると柔らかくなりすぎるため、チャーハンには不向きです。チャーハンを作る際は、一度冷ましてから使うと良いでしょう。

表彰

2017年の世界コメ会議では、タイのジャスミン米（hom mali 105）が世界一の米に選ばれました。これは過去9年間で5度目の快挙であり、その味と形状が高く評価された結果です。審査では、マカオのレストランシェフらが味と粒の形状を基準に評価を行いました。2位はカンボジア、3位はベトナムでした。

関連項目

香り米
バスマティ米
もち米
アンベモハール米
ウェハニ米
インディカ米
* 有機ジャスミン米

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