ジャニーヌ・ミショー

ジャニーヌ・ミショー（1914年4月17日 – 1976年10月18日）は、フランスの声楽界を彩ったリリック・ソプラノ歌手です。彼女は、オペラを中心に、コンサートや教育の分野でも多大な貢献をしました。

トゥールーズで生まれたミショーは、地元の音楽院で声楽の基礎を築き、その後パリ音楽院へと進みました。1933年11月16日、オペラ＝コミック座でシャルパンティエの《ルイーズ》のラ・プリウーズ役としてデビューを飾りました。初期の頃は、エルランジェの《ポーランドのユダヤ人》のロワ役、イベールの《アンジェリーク》の隣人役など、様々な役柄を演じながら経験を積みました。また、《ラクメ》や《ミレイユ》といった作品にも出演しました。

サル・ファヴァールでは、《フィガロの結婚》のケルビーノ、《ホフマン物語》のオランピア、《セビリアの理髪師》のロジーナ、《真珠採り》のレーラ、《カルメン》のミカエラ、そして《ラクメ》のタイトルロールといった、より重要な役柄を演じるようになりました。1935年までに、その才能は広く認められ、マルセイユでの《ラクメ》上演への参加を皮切りに、国際的な舞台へと活躍の場を広げていきました。モントゥーに才能を見出され、アムステルダムで《ペレアスとメリザンド》のヒロインを演じ、サンフランシスコにも赴きました。ブエノスアイレスでは、エーリヒ・クライバーの指揮の下、《ばらの騎士》のゾフィー役を演じました。

1940年には、パリ・オペラ座にデビューし、ミヨーの《メデア》のクルーズ役を創唱しました。その後も、《リゴレット》のジルダ、《椿姫》のヴィオレッタ、《ばらの騎士》のゾフィーなど、数々の主要な役柄をオペラ座で演じました。

戦後、ミショーは活動の拠点を世界へと広げ、ミラノ・スカラ座、ブリュッセル・モネ劇場、ロンドン王立歌劇場、サンフランシスコ歌劇場、シカゴ・リリック・オペラなど、名だたる歌劇場からの招聘を受けました。《ペレアスとメリザンド》や《ロメオとジュリエット》のヒロイン、《マノン》のタイトルロール、《ファウスト》のマルグリット役など、彼女の当たり役を各地で披露しました。

ミショーは、演奏会やラジオ放送にも積極的に出演し、特に18世紀のフランス・バロック音楽、例えばラモーの《優雅なインドの国々》や《プラテー》などの作品に力を注ぎました。フランス国営放送では、1947年にメサジェの《イゾリーヌ》、1956年に同じくメサジェの《お菊さん》に出演し、これらの録音はCD化もされています。演奏会のレパートリーとしては、ラヴェルの《シェエラザード》、ドビュッシーの《選ばれたおとめ》や《聖セバスチャンの殉教》、シャブリエの《音楽への頌歌》などが挙げられます。また、ドビュッシーやミヨーの歌曲も得意としていました。

1961年からは、パリ音楽院やザルツブルク・モーツァルテウム大学で後進の指導にあたりました。1968年5月、ルーアンでの《魔笛》のパミーナ役を最後に、惜しまれつつも舞台から引退しました。

ミショーの芸術は、その美しい声と卓越した演技力によって、多くの人々を魅了しました。彼女の歌声は、今もなお録音を通して聴くことができ、その功績は音楽史に深く刻まれています。

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