ジャパン (バンド)

ジャパン (Japan) の軌跡

ジャパンは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて活動した、イギリスのニュー・ウェイヴバンドです。デヴィッド・シルヴィアンを中心に、彼の弟スティーヴ・ジャンセン、そして幼馴染のミック・カーンらによって1974年に結成されました。初期はグラムロックやファンクの影響を受けた音楽性でしたが、次第にシンセポップへと移行し、独自の耽美的なサウンドを確立しました。

バンドの結成と初期

バンドは、ミック・カーンの兄の結婚式で初披露されました。当初はカーンがリードボーカルを務める予定でしたが、本番直前にシルヴィアンに交代。その後、高校の同級生であったリチャード・バルビエリと、オーディションでロブ・ディーンが加入し、デビュー時のメンバー構成となりました。デビュー当初はアイドル的な売り出し方をされましたが、イギリスではほとんど人気が出ず、逆に日本では初来日時に武道館公演を行うなど、熱狂的な歓迎を受けました。初期のサウンドは、黒人音楽やグラムロックをポストパンク的に解釈したもので、独特なリズムと内省的な歌詞が特徴でした。

シンセポップへの転換と評価の確立

1979年のシングル「ライフ・イン・トウキョウ」をきっかけに、シンセポップ路線へと音楽性を変化させました。3枚目のアルバム『クワイエット・ライフ』では、初期のグラムロックやファンクの要素を完全に払拭し、カーンのフレットレスベース、バルビエリの抽象的なシンセサウンド、ジャンセンの堅実なリズムアレンジ、そしてシルヴィアンの退廃的なボーカルが融合した、他に類を見ない個性的なサウンドを生み出しました。この頃から、本国イギリスでも評価を高め始めました。

さらなる音楽性の追求と解散

その後、ヴァージン・レコードに移籍し、アルバム『孤独な影』、『錻力の太鼓』をリリース。これらの作品では、アフリカン・ビートや東洋音楽の要素を取り入れ、独特のリズム解釈とグルーヴを追求しました。特に『錻力の太鼓』からのシングル「ゴウスツ」は、バンド最大のヒットを記録しました。しかし、オリジナルメンバーのロブ・ディーンが脱退し、最後のツアーには土屋昌巳がサポートメンバーとして参加しました。1982年にバンドは解散しますが、1991年には、解散時のメンバーでレイン・トゥリー・クロウとしてアルバムをリリースしました。

解散後の活動とメンバーの関係

解散後もメンバーはそれぞれ音楽活動を続け、互いの作品に参加するなど、交流を続けていました。ミック・カーンが亡くなるまで、メンバー間の関係は良好に保たれていました。

バンド名の由来とライブへのこだわり

バンド名の由来は、特に深い意味はなく、デヴィッド・シルヴィアンが「なんとなくJAPANという響きが浮かんだだけ」と語っています。また、ライブでの演奏には非常にこだわりを持っており、原曲のクオリティを下げないように入念な機材チェックを行っていました。ライブではシーケンサーを使用せず、演奏不可能なパートはオープンリールのMTRを使用し、ドラムのジャンセンがヘッドフォンでモニターしていたというエピソードもあります。

メンバー

デヴィッド・シルヴィアン (David Sylvian) - ボーカル、ギター、キーボード
ミック・カーン (Mick Karn) - ベース、サクソフォーン、バック・ボーカル
スティーヴ・ジャンセン (Steve Jansen) - ドラム、パーカッション、キーボード
リチャード・バルビエリ (Richard Barbieri) - キーボード、シンセサイザー
ロブ・ディーン (Rob Dean) - ギター、バック・ボーカル

その他メンバー

ジェーン・ショーター（Jane Shorter）- サクソフォーン（1979年 - 1980年）
デヴィッド・ローズ（David Rhodes） - ギター（1981年）
土屋昌巳（Masami Tsuchiya） - ギター、キーボード（1982年）

ディスコグラフィー

スタジオ・アルバム
『果てしなき反抗』 - Adolescent Sex（1978年）
『苦悩の旋律』 - Obscure Alternatives（1978年）
『クワイエット・ライフ』 - Quiet Life（1979年）
『孤独な影』 - Gentlemen Take Polaroids（1980年）
『錻力の太鼓』 - Tin Drum（1981年）
『レイン・トゥリー・クロウ』 - Rain Tree Crow（1991年）※レイン・トゥリー・クロウ名義

ライブ・アルバム
『オイル・オン・キャンヴァス』 - Oil On Canvas（1983年）

シングル
「奇（あや）しい絆」 - "The Unconventional"（1978年）
「孤独な安らぎ」 - "Sometimes I Feel So Low"（1978年）
「ライフ・イン・トウキョウ」 - "Life in Tokyo"（1979年）
「クワイエット・ライフ」 - "Quiet Life"（1979年）
「セカンド・ザット・エモーション」 - "I Second That Emotion"（1980年）
「孤独な影」 - "Gentlemen Take Polraroids"（1980年）
「ジ・アート・オブ・パーティーズ」 - "The Art of Parties"（1981年）

日本公演

1979年から1982年にかけて、日本で数多くの公演を行いました。武道館や大阪フェスティバルホールなど、大都市の主要な会場でパフォーマンスを披露しました。

外部リンク

Sony Music Online Japan : JAPAN
UNIVERSALミュージック・ジャパンによるアーティスト紹介
* ジャパン (lifeintokyo) - Facebook

ジャパンは、その音楽性だけでなく、ファッションやアートワークにおいても独自の世界観を確立し、後世のアーティストに大きな影響を与えたバンドです。

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