ジャングル (森林の型)

ジャングル

定義

ジャングルは、一般に熱帯雨林を指す言葉として用いられますが、もともとは熱帯に存在する一種の森林を指す用語です。その特徴は、植物が密集し、周囲の視界を妨げることにあります。このため、ジャングルという言葉は、見通しが悪く、物理的に通り抜けにくい状況を形容する際にも使用されます。

生物学の専門用語としては必ずしも広く認知されているわけではなく、「岩波生物学事典」など多くの植物学の辞典では言及されていません。しかし、「オックスフォード植物学事典」では「つる植物、竹類、ヤシ類などが生い茂った亜極相熱帯雨林」と明記されています。ここで、極相の熱帯雨林との違いは、後者では下層の植生がまばらで視界が確保できる点にあります。

由来

「ジャングル」という言葉はヒンディー語の「jangal」に由来し、元々は居住地の周辺にあたるアクセスの難しい森林や低木林を指していました。この言葉が新しい生態系の状況を示す一般用語として浸透していきました。

熱帯雨林では、光の透過が大きく変化する際、特に木性の蔓植物が急速に成長し、伐採や自然災害により森林内に光が入ると、一気にジャングルが形成されます。これにより、密生したカーペットのような構造ができあがり、樹木が成長してくると、徐々に元の森林の形に戻りますが、その過程は遅いものです。

植生と生態

初島(1978)は、ジャングルを「蔓性のヤシが生い茂った森」と表現し、陽性植物であるヤシが光不足で成長を止め、条件が好転すると一斉に成長し、密生した茂みを作ると述べています。これにより、棘や絡まり合った蔓が人間の侵入を困難にする環境が生じます。この状態がジャングルと呼ばれ、元々の熱帯雨林のことではなく、破壊された地域で形成された二次林が多いとされています。

熱帯雨林とジャングル

一方、ジャングルという表現は熱帯雨林全般を意味することも一般的です。竹内(1978)が「アマゾン・ジャングル」という題名で研究し、そこに「典型的な熱帯多雨林」と記していることからも、その適用範囲の広さが伺えます。また、日本語辞書でも『日本国語大辞典』では熱帯雨林を指すほか、周囲の森林をも指すことがあると記されています。このように、ジャングルは時に熱帯多雨林を意味することがあり、取扱いには注意が必要です。

派生的な用途

さらに、ジャングルという言葉は森林に限らず、他の文脈でも使われます。例えば「都会のジャングル」と称される都市環境の表現は、絡み合って混乱した状態を示す比喩として用いられます。ここでは、もともとの意味である生い茂った植物が通り抜けにくい森林から派生した概念となっています。

結論

このように、ジャングルは熱帯の森林のみならず、さまざまな場所、状況で用いられる用語です。その本質的な特徴としては、密生した植物の繁茂があり、視界やアクセスが妨げられる環境を形作ることが挙げられます。これにより、自然環境や人間の社会においてどのように名付けられ、解釈されるかがわかります。

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