ジャンタル・マンタル

ジャンタル・マンタルとは

ジャンタル・マンタルは、18世紀前半にジャイプル藩王国の君主であったジャイ・シング2世によって、インド北部に建設された大型の日時計と天体観測施設群です。彼は政治家としての手腕だけでなく、科学者、改革者としての側面も持ち合わせていました。1727年には、王国の首都をアンベールからジャイプルへと遷都し、その地に巨大な日時計を含む天体観測施設を建設しました。

名称は、サンスクリット語の「ヤントラ（yantra）」と「マントラナ（mantrana）」に由来しています。ヤントラは「機器、機械」を意味し、マントラナは「参考にする、計測する」を意味します。つまり、ジャンタル・マンタルは「計測する機器」という概念を表しています。

各地のジャンタル・マンタル

ジャイ・シング2世は、合計5か所にジャンタル・マンタルを建設しました。

デリー郊外 (Jantar Mantar, New Delhi)：最初に建設された施設です。現在はデリー連邦直轄領に位置しています。
ジャイプル：現ラージャスターン州にあり、最大の規模を誇る施設です。2010年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ベナレス (Jantar Mantar, Varanasi)：現ウッタル・プラデーシュ州にあります。
マトゥラー：同じくウッタル・プラデーシュ州にありましたが、1857年に取り壊され現存していません。
* ウッジャイン (Jantar Mantar, Ujjain)：同じくウッタル・プラデーシュ州にあります。

これらの施設の中で、ジャイプルのジャンタル・マンタルが最も大きく、その文化的、歴史的な価値が評価され、世界遺産に登録されるに至りました。

施設の特徴

ジャンタル・マンタルの特徴は、その巨大な建造物によって天体を観測できる点です。日時計をはじめ、様々な天体観測機器が設置されており、当時の天文学の進歩を物語っています。これらの機器は、太陽、月、惑星の動きを正確に測定し、暦の作成や天文学的な研究に活用されました。

ジャイプルのジャンタル・マンタル

ジャイプルのジャンタル・マンタルは、特に注目すべき施設です。その規模の大きさだけでなく、観測機器の精度も高く、当時の天文学の粋を集めたものと言えるでしょう。これらの観測機器は、石やレンガで精巧に作られており、その美しさもさることながら、天文学に対するジャイ・シング2世の情熱と技術力を感じさせます。

現代における価値

ジャンタル・マンタルは、単なる歴史的建造物としてだけでなく、科学史、天文学の発展を知る上でも重要な存在です。これらの施設は、18世紀のインドの科学技術の高さを伝えるとともに、現代の天文学研究においても重要な示唆を与えてくれます。また、観光資源としても人気があり、多くの人々がその歴史と科学的な価値を求めて訪れています。

まとめ

ジャンタル・マンタルは、18世紀インドの科学と文化を象徴する貴重な遺産です。ジャイ・シング2世の天文学への情熱と、当時の技術の粋を集めたこれらの施設は、今もなお、私たちに深い感動と学びを与えてくれます。

もう一度検索