ジャイ・シング2世

ジャイ・シング2世の生涯

ジャイ・シング2世（1688年12月3日 - 1743年9月21日）は、北インドのラージャスターン地方に位置するアンベール王国（後のジャイプル王国）の君主であり、ムガル帝国の政治家、武将としても活躍しました。彼は「サワーイー・ジャイ・シング」とも呼ばれ、18世紀におけるラージプートの王の中でも特に傑出した存在でした。

1688年、アンベール王国の君主ビシャン・シングの息子として生まれたジャイ・シング2世は、1699年に父の死後、王位を継承しました。即位後、彼はマラーター王国とのデカン戦争に参加しましたが、雨季による行軍困難に直面します。1702年にはケールナーの包囲で功績を認められ、「サワーイー」の称号を授与されました。

1704年、ジャイ・シング2世はマールワー地方の統治を委ねられますが、この決定は後に取り消されました。1707年にアウラングゼーブ帝が亡くなると、彼は複雑な政治状況に巻き込まれ、支持者たちは殺害されます。バハードゥル・シャー1世はアンベール王国への支配を強めようとしましたが、ジャイ・シング2世はマールワール王国やメーワール王国と連携し、これに対抗しました。その後、バハードゥル・シャー1世と和解するも、太守職は認められませんでした。

1712年、バハードゥル・シャー1世の死後、ジャイ・シング2世はアーグラとマールワーの太守に任命され、「ミールザー・ラージャ・サワーイー」の称号も授与されました。アーグラでは、ジャート勢力との紛争に巻き込まれましたが、ムガル帝国や周辺勢力からの支援を得て、これを鎮圧しました。

ジャイ・シング2世は国内の統治も重視し、1727年には首都をアンベールからジャイプルへと遷都しました。ジャイプルは「勝利の都市」を意味し、科学的な原則に基づいて建設されました。また、マールワー方面では、伸長するマラーター勢力に対抗しましたが、1737年のボーパールの戦いでムガル帝国軍が敗北し、マールワーを割譲することになりました。1743年、ジャイ・シング2世はジャイプルで亡くなり、息子のイーシュヴァリー・シングが王位を継承しました。

科学者としての功績

ジャイ・シング2世は優れた科学者であり、特に天文学の分野で顕著な功績を残しました。彼はジャイプルを科学的な都市として建設し、交差する広い街路など、科学的原則に基づいて都市設計を行いました。また、ジャイプルには最新の天文観測機器を備えた「ジャンタル・マンタル」を建設し、デリー、ウッジャイン、ヴァーラーナシー、マトゥラーにも同様の天文台を建設しました。

彼の天文観測は非常に正確であり、その観測を助けたのは「ジズ・ムハンマド・シャーヒー」と名付けられた計算表でした。さらに、海外の書物にも関心を持ち、エウクレイデスの幾何学や対数の書物をサンスクリット語に翻訳させました。

改革者としての側面

ジャイ・シング2世は改革者としても知られ、その治世中に社会改革を試みました。彼はラージプートの娘の結婚における過剰な出費や、女子の嬰児殺害などの慣習を廃止しようとしました。また、寡婦殉死であるサティーの悪習の撤廃にも尽力しました。

ジャイ・シング2世は、政治、軍事、科学、社会改革と多岐にわたる分野でその才能を発揮し、18世紀のインドにおける重要な人物の一人として歴史に名を刻んでいます。

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