ジャンバティスタ・バジーレ

ジャンバティスタ・バジーレの生涯と業績

ジャンバティスタ・バジーレ（Giambattista Basile、1575年? - 1632年2月23日）は、イタリアの詩人であり、軍人でもありました。彼は特に説話集『ペンタメローネ（五日物語、Pentamerone）』の作者として名を馳せています。彼の作品は、出身地や時代背景を反映しつつ、後世の童話や文学に多大な影響を与えました。

ナポリという貧しい家庭の出身であったバジーレは、幼少期から詩的才能を発揮していました。しかし、生活のために傭兵としてイタリア各地を移り歩くことになります。彼はクレタ島の警備隊や、当時実質的にスペインの一部であったナポリ王国軍に従軍しました。こうした奔走の中で、彼は詩を通じての表現をあきらめることはありませんでした。

彼の人生には、妹アドリアーナの存在が重要な役割を果たしました。アドリアーナは「当代随一の歌姫」として名を馳せ、ナポリの支配層から厚い支持を受けていました。妹の成功により、バジーレも少しずつ浮上し、1609年には処女詩集『マドリアーリとオーデ』（Madriali et ode）を発表します。この詩集は彼にさらなる詩作の機会をもたらし、次々に作品を世に送り出すきっかけとなりました。

しかし、バジーレは同時にイタリア語の統一化が進む中で、地域の方言である「ナポリ語」の衰退を憂慮していました。この思いから、彼はナポリ地方に古くから伝わる説話を収集するという決意を固めます。こうして彼が編纂したのが『物語の中の物語、即ち幼い者達のための楽しみの場』です。後に、この作品は彼の死後に「ペンタメローネ」と改題され、1634年に刊行されます。

『ペンタメローネ』は彼の文学的遺産の中で特に重要な位置を占めており、ヨーロッパにおける童話集の先駆けとなりました。バジーレの作品は、後のグリム兄弟やアンドERSENなどの童話作家に影響を与え、全世界の物語に新しい視点を提供しました。

彼の作品やその影響は、時代を超えて多くの読者に受け継がれていますが、特にロマン主義やナラティブの発展に寄与した点は、その意義をさらに高めています。バジーレは、文学を通して人々を楽しませ、考えさせる力を持った作家であったと言えるでしょう。彼の生涯と業績は、イタリアの文化史に欠かせない要素として今も語り継がれています。彼の作品を通して、私たちは彼の時代の物語の豊かさと、人間の感情の深さを垣間見ることができるのです。

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