ジャンボトロン

ジャンボトロンとは

ジャンボトロン（JumboTron）は、ソニーが開発したサイズの大きな映像表示装置のブランド名です。主に屋外使用を想定して設計されたこの装置は、全カラーのディスプレイを特徴としています。特に、特殊な蛍光表示管（VFD）技術を採用し、赤・緑・青の3色の発光素子を組み合わせることで、非常にはっきりとした映像表示を実現しています。

開発の背景

この装置は、1985年に開催された国際科学技術博覧会、通称つくば科学万博において大きな注目を集めるために開発されました。万博におけるパビリオンの一部として、屋外に設置でき、かつ晴天の昼間でもクリアな映像が楽しめることが求められました。従来は、小型の単色ブラウン管やLEDを用いた映像装置がありましたが、屋外で十分な明るさを持つものはありませんでした。特にLED技術では、青色の表示が困難だったため、フルカラーの実現が難しかったのです。

その結果、ジャンボトロンは、最新の蛍光表示管技術を採用し、新しい発光素子「トリニライト」を開発しました。この技術により、各ディスプレイ内に赤・緑・青の3原色が表示でき、最大輝度は1500ft-Lという驚異的な明るさを達成しました。これは家庭用ブラウン管の約30倍の明るさに相当し、屋外でも鮮明な視覚体験を提供しました。

歴史と功績

ジャンボトロンは、つくば科学万博で「世界一大きなテレビ」として出展され、当時のギネス世界記録に認定されました。当初は万博のために特化した開発でしたが、後にスポーツスタジアムやその他の大型映像表示装置として市販されるようになりました。その名は、当時のソニーのテレビブランド「トリニトロン」に由来しており、映像技術の「ジャンボ版」という意味が込められています。今や「ジャンボトロン」という言葉は、大型ディスプレイを指す一般名詞的に使われることもあります。

つくば万博での特製パビリオン

1985年のつくば科学万博では、25メートル×40メートルのサイズを持ち、2000インチの巨大なディスプレイとして設置されました。このパビリオンは、当時のソニー宣伝部長、黒木靖夫によってプロデュースされ、目玉展示となりました。展示中には、会場の様子やコンサート、ゲーム大会などが映し出され、訪れた人々を驚かせました。設計には、スタジオやエレベーターも組み込まれており、事前情報なしに3D映像も表示可能だったのです。万博終了後は他国への移設の計画もありましたが、費用の面から実現せず、最終的には取り壊されました。

規格および特性

つくば万博においてのジャンボトロンの仕様は以下の通りです：

- 画面サイズ：縦25m×横40m（縦横比 3:5）
- 総絵素数：151,200個（151,200トリオ）
- 水平方向絵素数：400 RGBトリオ
- 垂直方向絵素数：378ライン
- 発光・発色技術：RGB3原色高輝度蛍光方式（トリニライト）
- 最大輝度：1500ft-Lピーク
- 映像回路：8ビットデジタルPWM駆動
- 総消費電力：約800kWh
- 適視距離：50〜500m

ジャンボトロンの現在

その後、ジャンボトロンは大型映像装置としていくつかの代表的なスポーツ施設に設置されましたが、青・緑のLED技術が進化するにつれ、主流はLED式になりました。ソニーは2001年にこの市場から撤退しましたが、現在でも、ジャンボトロンは多くの競技場やイベントにおいて現役で利用されています。

類似製品

他社でも同様の大型映像表示装置が開発されています。

- アストロビジョン（パナソニック）
- オーロラビジョン（三菱電機）
- スーパーカラービジョン（東芝ライテック）
- スーパーフロンテックビジョン（富士通フロンテック）
- ゴジラビジョン（ダクトロニクス）

このように、ジャンボトロンはその歴史と技術によって、映像表示技術の一つとして特別な地位を占め続けています。

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