ジャン・ピエール・レイ

ジャン・ピエール・レイ：日本カトリック教会発展に尽力したフランス人宣教師

ジャン・ピエール・レイ（Jean Pierre Rey、1858年11月3日 - 1930年5月25日）は、フランス出身のカトリック宣教師であり、パリ外国宣教会に所属していました。明治時代に来日し、東京大司教を務めるなど、日本のカトリック教会の発展に大きく貢献しました。

生涯

1858年、フランスのローヌ県ジュリエナで生まれたレイは、1878年からパリの宣教学校で学び、パリ外国宣教会に入会。1882年3月に司祭に叙階されると、同年5月には宣教師として日本に派遣されました。

来日後、レイは浅草教会内の児童福祉施設「玫瑰学校」で仏文科の教頭として4年間勤務しました。その後、玫瑰学校に収容されていた孤児たちが成長し、職業訓練の必要性が高まったことから、高木甚三郎の協力を得て、1888年1月に小石川区関口台町（現在の文京区関口）に聖母仏語学校を設立しました。

聖母仏語学校では、孤児たちの自立心を育むため、パン製造や大工仕事などの職業訓練を実施しました。特にパン製造は評判を呼び、「関口パン」として地域住民に親しまれるほど成功しました。また、同年12月には田中弘義と共に『和仏字書』を刊行するなど、教育・文化面でも貢献しました。

1900年6月、レイはカトリック静岡教会の主任司祭に就任し、前任者ミュガビュールの後を継いで学校設立に尽力しました。県や市の当局者との協議を重ね、名古屋に学校を設立しようとしていたサンモール修道会（後の幼きイエス会）を誘致し、教会の土地建物を提供することで合意。1903年4月9日、静岡雙葉中学校・高等学校の前身となる仏英女学校が開校しました。

1908年、健康を害したレイは横浜の会計職とサンモール修道院付司祭に転任し、療養に努めました。そして、1912年6月には、フランソワ・ボンヌの後任として東京大司教に任命され、同年7月25日に自らが設計したカトリック関口教会の聖堂で司教に叙階されました。1927年に引退するまで、東京大司教として教区の運営に尽力しました。引退後は本郷教会に移り住み、1930年5月25日、軽井沢で生涯を閉じました。

ジャン・ピエール・レイは、孤児の自立支援、学校設立、東京大司教としての教区運営など、多岐にわたる分野で日本のカトリック教会に貢献しました。彼の功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

参考文献

日本教育史論叢:本山幸彦教授退官記念論文集/本山幸彦教授退官記念論文集編集委員会編（1988年）
日仏文化交流史の研究〔増訂版〕 西堀昭 著（1988年）
時の流れをこえて カトリック関口教会（1980年）
一粒の麦 東京教区創立100周年記念誌（1991年）
来日西洋人事典〔増補改訂普及版〕日外アソシエーツ 武内博 著（1995年）
宣教再開百年誌 カトリック静岡教会（1984年）

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