ジャン＝ジャック・レジ・ド・カンバセレス

ジャン＝ジャック・レジ・ド・カンバセレスについて

ジャン＝ジャック・レジ・ド・カンバセレス（1753年 - 1824年）は、フランスの法律家であり政治家で、ナポレオン・ボナパルトのもとで重要な役割を果たした人物です。彼はパルマ公に叙され、特にナポレオン法典の起草者の一人として知られています。この法典は、フランスの法律史において、近代的法律の礎を築くものであり、長年にわたり影響を与え続けています。

生い立ちと初期のキャリア

カンバセレスはモンペリエに法服貴族の家庭に生まれ、1774年に法学を修了後、父親と同様にモンペリエの会計財政法院で働き始めました。1789年のフランス革命には積極的に関わり、同年には三部会に出席する機会を得ました。この時、彼はモンペリエの貴族階級の代表として選ばれたものの、議席には着くことができませんでした。1792年にはフランス第一共和政を宣言した国民公会にエロー県の代表として参加し、革命時代の変革に寄与しました。

カンバセレスは、穏健派としての立場を取っており、ルイ16世の裁判においては法廷の権限を主張しました。1793年には国防委員会の一員として活動を始め、翌年からは公安委員会での活動も行いました。革命のなかで、彼は法律や外交において重要な役割を果たし、1795年にはスペインとの和平交渉に関与しました。

ナポレオン法典の起草

1799年、カンバセレスはナポレオンの下で第二統領に任命されました。彼は高い法律の知識を持ち、穏健な共和主義者として評価されていました。彼の最大の業績は、後にナポレオン法典として知られる新しい民法典を起草したことです。この法典はフランス初の近代的法典であり、1804年にナポレオンが皇帝として公布しました。

ナポレオン法典は、古代ローマ法に基づき、一部はフランスのパリ慣習法を取り入れた形で成り立っています。また、ナポレオンの征服を通じて、この法典はイタリアやオランダなどの国々にも影響を及ぼし、特にラテンアメリカにも間接的に影響を与えることになりました。カンバセレスの業績は、欧米の法律制度において長期にわたる影響を持つこととなります。

同性愛とカンバセレス

カンバセレスの個人的な生活も注目されます。彼は同性愛者であったと言われており、フランスにおける同性愛の非犯罪化に対する影響が広く語られています。しかし、実際には彼の起草した法典は民法に関するものであり、刑法典には直接的な関連はありませんでした。フランス革命以前、男色は厳しく処罰されていましたが、1791年にフランスでの刑法改正により、同性愛に対するいかなる法律も廃止されました。

後の生涯と引退

カンバセレスはナポレオンの権力集中に懸念を持ちつつも、彼の下で高い地位を維持しました。1804年にはパルマ公に叙され、最高法曹長官の地位にも就いています。彼はナポレオンの軍事行動には常に反対の立場でありましたが、その政策の実施には加担しました。1814年の帝国崩壊後、カンバセレスは引退し、再度政治から離れました。

亡命の危機を経た後、彼は1818年に市民権を回復し、その後はアカデミー・フランセーズの会員として静かに過ごしました。彼は1824年にパリで亡くなり、法制度への貢献は長きにわたり評価されています。彼の名前は、フランスのみならず欧米における近代法の形成において、今もなお重要な存在として記憶されています。

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